取材・文/ふじのあやこ
新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。この連載ではコロナ禍によってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。
優花さん(仮名・33歳)は前職を人間関係から辞めて、現在は外資系の企業でリモートワークをしている。同じ部署内には引き抜きでコロナ禍の半年前にやってきた女上司が君臨していて、その上司は頑なに出社を続けていた。
【~その1~はコチラ】
人間関係の薄さを埋めるための愚痴飲み会で感染者が出る
2021年の中頃にはWeb会議システムが社内で統一され、外部からアクセス可能なセキュリティー機能が強化されたサーバーも確保。一度目の緊急事態宣言が解除後は出勤も可能となったが、個々の社員や部署ごとにその判断は委ねられることになる。
「上司は出勤を求めることは会社の手前できなかったんだと思いますが、事あるごと理由をつけて出勤を求めてきました。『この資料を紙で先方に見せたいから準備してくれない?』というような。自分でしろよ! って感じですよね。一度断ったらターゲットにされてしまうという気持ちがあって渋々出勤していましたけど。
上司の他にもリモートになって人間関係が希薄になってしまうことに寂しさを覚える人たちが一定数いて、そんな人たちから出勤したときに夜のお誘いを受けるようになったんです。いつもなら誘われない人たちなのに、新型コロナの弊害がこんなところにも……と思いましたね」
そんな状況が続いた中、社員に新型コロナの感染者が出てしまったという。リモートワークが推奨されていたはずの会社で出勤後の飲み会が行われていたことも芋ずる式に発覚し、会社は完全リモートに。申請しないと出勤できない状態になる。優花さんは濃厚接触者に該当することもなく、出勤しないで済むことにも安堵したそう。
「やっとです。もうコロナ禍に入って会社がリモートワークを推奨して1年以上が経っていたし、社外の人との打ち合わせもよっぽどのことがない限りビデオ会議になっていたのに。
感染者が出たのは私の部署だったのですが、私は何度か断っていたら誘われなくなっていて、参加していなかったんです。こうならないために会社はリモートを推奨していたのに、わざわざ集まって愚痴大会を開いていたのであればまったく意味がないですよね。こうなるまでなんで気づかないんだろうって思いました」
【社内での人間関係に期待していなかったことが功を奏した。次ページに続きます】