社内での人間関係に期待していなかったことが功を奏した
完全リモートになってすぐは朝礼のようなものが毎日ビデオ会議で行われていたが、1人ずつ業務を報告すると時間がかかり、部下たちの一致団結した提案により廃止に。各社員が上司にその日の業務や進捗をチャットで報告することになったそう。その文字による連絡により、業務がグッと楽になったという。
「伝えたこと、上司から伝えられたことが文字として残るんです。それにみんなが確認できるので、電話で報告を受けたことでもチャットに流してしまえばみんなが証人になってくれる。対面していた頃のあの面倒な時間がないと、こんなに仕事って捗るんだって改めて気づきました。
それに上司は部下の仕事をすべて隅々までチェックして粗を探さないと気が済まないタイプみたいで、自分の仕事がかなり滞っているようでした。次第にちゃんと仕事をする部下の対応はスルーしがちになり、ますます仕事がしやすくなりましたね」
優花さんは仕事がかなりしやすくなったと言うが、社員の中には出勤を希望する者も多かった。中には「会社で疎外感がある」「正当な評価がされないのでは」と人事に不満を訴える人もいたとか。優花さんは「会社は仕事をする場」と正反対の意見を述べる。
「同じ仕事に取り組んでいる同僚などとは意思疎通も必要ですが、職場は本来は仕事をする場なので仕事以外でのコミュニケーションが必要だとは思いません。自分のことを親しいという枠に入れていてくれた人が1人でもいれば、疎外感なんて感じないはずです。
評価だってそう。何をしたかの進捗を報告しているんですから、それがすべてだと思うんです。もちろん部署によっては難しいところもあるでしょうけど、私のような外部とやりとりをして実績が残る部署はリモートワークでも正当に評価を受けられると思います」
優花さんには現在、社外に彼氏もおり、コロナ禍前に知り合いを増やすために参加した異業種交流会などで友人も多いという。
「リモートになって寂しさを感じてしまう人は今まで社外での人間関係作りをしてこなかったからじゃないでしょうか。私は一度失敗しているので社内には何も求めていなかった。それがコロナ禍にうまくハマった気がします」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。