関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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今回の相談者は、会社経営者の佐々木信永さん(仮名・72歳)。問題は息子(43歳)一家のことで、妻(53歳)、連れ子(18歳)、実の娘(8歳)の3人が家を出て行ってしまった。落胆した息子が死を示唆する行動をしたために、私たちに調査を依頼。まずは3人の居場所を探ります。
【調査までの経緯は~その1~で】
実の孫が通う小学校に連絡するも個人情報の壁が立ちはだかる
まず、祖父の信永さんから、実の孫娘が通う小学校に電話をしてもらいました。「祖父ですが、3年生の佐々木は学校に来ていますか?」と連絡すると、事情を聴かれて「個人情報なので話せない」と言われたそう。そこで私たちは孫娘を特定しようと小学校に張り込みましたが、いただいた写真が不鮮明なために特定できない。
それと同時に、連れ子の娘が通う大学に潜入。写真から本人特定をするのが上手な探偵が、膨大な量産型女子のなかから特定。
「ダンスサークルが練習するエリアを張っていたら、一際かわいいコがいたのですぐにわかりました」とのこと。
大学生の孫娘は学校を出ると渋谷に行き、40代のメガネの男性とファミレスでお茶。相手の言うことを「楽しいです~」などと聞いていました。それが1時間で終わり、封筒を受け取ると、駅まで手をつないで移動。男性が改札内に消えると、宇田川町方面に歩き、それなりのお寿司屋さんへ。
1時間半後に50代のスーツの男性と出てきて、かなり親密そうにしつつ、別れ際にキスして帰宅。
電車で帰宅した先は、実の孫娘が通う小学校の学区内にある高級マンション。妻の家出先はここのようで、元の家から1キロも離れていません。まさに灯台下暗し。
【嫁が一緒に帰宅した男性は、依頼者もよく知る男だった。次ページに続きます】