関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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息子は「授かり婚」したが、孫が息子に似ていない
今回の依頼者は、安田則夫さん(仮名・65歳)です。現在も一級建築士として活躍されており、多忙な毎日を過ごしています。ここ最近気になるのは、現在1歳になるお孫さんについて。
「息子……長男(30歳)が1年半ほど前に授かり婚をしました。私たちの時代では“順序が逆”などと言われましたが、今は少子化時代。孫を授かったこと自体がありがたいことなんですよね」と語ります。
則夫さんは、年齢よりも若々しく見える人で、ヒゲとアロハシャツ+ジャケット姿がカジュアルでおしゃれです。
「妻(60歳)と息子夫婦の希望で、半年前に二世帯住宅を建てました。離れて住んでいた時は気付かなかったのですが、同じ建物に住むうちに、様々な疑惑が持ち上がったのです。息子の妻……私にとって嫁(28歳)は、見た目は真面目で地味で、人当たりがいいのですが、腹の底がわからない部分があります」
若い世代の人と接している人が最近よく言うのは、「相手が何を考えているかわからない」という問題。素直になんでも言うことを聞き、人に何かを頼まず、その姿は「借りを作らない」ようにしているように見える。言葉も柔らかく、断るときは「大丈夫です」と言い、「それはいいですね」などと相手に調子を合わせる。表面上は“素直でいい子”に見えるため、本音で話しているかどうかわからないというのです。
「嫁もまさにそのタイプです。ウチの妻が子育てに関して何か言っても、“あ、そうですね”と受け入れるから、いわゆる嫁姑問題などおこらないんです」
嫁は何か隠しているのではと疑ったのは、頻繁に孫を預けることから。
「現在、育休中なのですが、何かと私の妻に孫を預ける。そして5時間以上帰ってこないこともあるそうなのです。妻は私の事務所の経理をしたり、趣味や友達のお店の手伝いやらで忙しい。それなのに、嫁はのべつまくなしに預けてくる。妻は気がいい人で、孫もかわいいから、ホイホイ請け負っているんです」
【孫と過ごして気づいたこととは……次のページに続きます】