土佐打刃物の発祥の地といわれる香美市土佐山田町には、協同組合「土佐刃物流通センター」に所属する有志が集う「ZAKURI」という鍛冶師集団がある。
この集団は、土佐打刃物の伝統の技を継承しつつ、切磋琢磨して現代の暮らしや未来に通じる刃物の創出を目指すことを信条とする。各自が得意な打刃物の技術を活かし、包丁や農林業用刃物のほか、園芸用やアウトドア用など、さまざまな分野における新たな刃物を生み出している。それらは「ZAKURI」というブランド名で販売され、人気を博している。
また、打刃物の製造・販売だけでなく、イベントも定期的に開催し、古い刃物の再生や打刃物の普及に努めている。
鎌作りの技術を応用する
ここでは、ZAKURIの数ある製品の中から、「SABRYU鍛造」の3代目・山﨑龍太郎さん(64歳)が手がける、アウトドアなどで役立つ2本のナイフを紹介したい。
鍛冶師歴37年の山﨑さんは、高知県が認定する「土佐の匠」のひとり。既存の概念にとらわれず、ユニークな製品を次々と作り出している。「多目的ナイフ」は、山﨑さんが得意とする鎌作りの技術を活かして生まれた逸品。緩やかな曲線を描く刃と尖った刃先は、荷物の紐や段ボールの切断、山菜採りにも便利と評判が高い。一方、「リーフナイフ」は、木の葉をかたどった小型の切り出しナイフ。園芸や農作業のほかに、木工や竹細工に適している。今回は、どちらも人工皮革クラリーノ製のカバーを付けてお届けする。
【今日の逸品】
ZAKURI・アウトドアナイフ
SABRYU鍛造
6,380円(消費税込み)