御所櫻②

料理に欠かせない本みりんの歴史は古く、室町時代に「飲む甘いお酒」として中国から渡来し、江戸時代中期ごろから調味料として使われはじめたのだという。現在の和食や日本料理の原点ができあがり、各種基礎調味料の製造も盛んになってきた時代だ。

九重味淋(ここのえみりん)が創業されたのも、そんな時期と重なる徳川治世の安永元年(1772年)。蔵元の多くが創業したのは明治・大正時代なので、かなり早い時期からその歩みを進めてきたわけだ。

間もなく創業245年を数える同社だが、現在に至るまで脈々と伝統製法を受け継ぎ、妥協を許すことなく高い品質を守り通している。

櫂入れ

均一に糖化熟成するように混ぜる「櫂入れ」と呼ばれる作業。

恩光蔵

もち米・米こうじ・しょうちゅうを混ぜ合わせた「もろみ」を蔵内で糖化熟成させる。

今回発売された「三年熟成 本みりん 御所櫻」は、そんな九重味淋が美食家のためにつくり上げた、長期熟成のプレミアムな本みりんである。

御所櫻①

最大の特徴は、通常のみりんの倍以上の時間をかけ、じっくりと熟成させている点だ。しかも熟成に使用しているのは、国の登録有形文化財にも指定されている築300年の「大蔵」。江戸の昔から蔵に棲みついた微生物の働きにより、長期熟成ならではの滑らかな甘みと、複雑なうまみを引き出している。

大蔵

搾ったみりんを寝かせる大蔵。築300年以上の風格を放っている。

味見をしてみればすぐにわかるのは、トロリと濃厚で、それでいて上品かつ自然な甘さ。

原料に使用しているのは、国内産のもち米、米麹、米焼酎のみ。そしてもちろん、混ぜ物は一切なし。自然が醸す滋味が、素材本来の味を引き立たせてくれる。つまり、食の安心・安全を気にかける人に最適だというわけだ。

だから少量を加えるだけで、汁物も、煮物も、焼き物も、味がぐんと引き立つ。真の美食家なら、ぜひとも試していただきたい逸品だ。一度使ってみれば、奥深い味に魅了されることだろう。

【三年熟成 本みりん 御所櫻】
価格:2,500円(税別)
購入:九重味淋直売所および九重味淋オンラインショップ

取材・文/印南敦史

 

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