夜道を照らす街灯や窓から漏れる灯り、自動車・電車・船舶のライト、歴史的建造物や近代的な造形物等を美しく照らす照明、人々を楽しませるために施されたイルミネーション……過去そして今まさに都市で暮らす人々の生活と文化が創り出した風景、「夜景」。その美しさは、ずっと眺めていても飽きませんね。
日本には、三大夜景(函館、神戸、長崎)をはじめとして、数々の夜景スポットがあります。また、夜の灯り楽しむ様々な祭りがあります。
そんな日本各地の美しい夜景を再発見、発掘し、観光資源として後世に残していく事を目的として企画されたのが、「日本夜景遺産」です。毎年多くの候補地の中から、夜景検定1級の有資格者である「夜景マイスター」によって選定されています。
そして、今年も、2016年「日本夜景遺産」の新規認定地が発表されました。今回は、その新規認定地8か所をご紹介しましょう。
山頂の展望台や小高い丘等から眺める「自然夜景遺産」2つ
■1:日本平(静岡県)
2013年に「世界文化遺産」に登録された名勝地。昼間は富士山を正面に、眼下には「三保松原」や駿河湾のたおやかな景色が広がりますが、夜は清水港から静岡市街地までの灯りを眺めることができます。
■2:八面山(大分県)
山頂からの景観がよく、周防灘や山国川、中津平野までが一望できるパノラマの風景は昼も夜も多くの人々に親しまれています。
ビルやタワーの展望施設から眺める「施設型夜景遺産」2つ
■3:東京スカイツリー(東京都)
2012年に開業した電波塔は、夜はLED照明のライトアップを身にまとい、幻想的な光で都会の夜を彩ります。
■4:あべのハルカスの展望台「ハルカス300」(大阪府)
2014年に開業したばかりの、現在(2016年8月時点)、日本で最も高い高層ビル。大阪の街並みを一望でき、天気が良ければ、生駒山や明石大橋まで見えることもあるとか。
歴史的な建造物や文化の夜の姿を眺める「ライトアップ夜景遺産」3つ
■5:丸の内イルミネーション(東京等)
冬は、ビジネスの街が日本有数のイルミネーションスポットに。沿道の街路樹に設置されたイルミネーションが、カップルや親子連れの笑顔を明るく照らします。
■6:いいやま灯篭まつり(長野県)
長野県飯山市内中に置かれる灯篭の数は、15000以上にも。人々が創り出すあたたかい灯りが、幻想的に街並みを照らします。
■7:熊本暮らし人まつり みずあかり(熊本県)
地元の人々が一丸となって実施している祭典。熊本城を中心に竹灯籠が並び、坪井川の川面は約5000もの「浮き灯籠」の灯りに照らされます。
古くから受け継がれる文化が創り上げる「歴史文化夜景遺産」1つ
■8:横手の雪まつり(秋田県)
一つ一つのかまくらに灯る温かい光。そしてお餅を焼く子供たちの声。雪国ならではの、古きよき日本の文化が織りなす夜の風景があります。
以上、先頃発表された2016年「日本夜景遺産」の新規認定地を8か所ご紹介しましたが、いかがでしょうか?
今夜もまた、街に灯りが灯ります。いつも目にしている、この美しい光のアートを、今一度見つめ直してみませんか。
文/藤谷尚美