旅行に行ったら、時刻表を購入
――乗れば乗るほど、鉄道は楽しいと感じる。
入江:鉄道のいいところは、乗りさえすれば、目的地に到着すること。その間、本を読んだり食事をしたり、こっそり筋トレしたり、なんでもできます。もちろん、時刻表を見ながら、次に何をしようかとゆったり考えるのも楽しいもの。
海外の鉄道に乗るときも時刻表を購入していますが、日本のようなクオリティのものにはお目にかかったことはありません。日本の時刻表は、独自の文化として100年かけて進化してきたともいえます。



――旅の楽しみが倍増する情報満載の時刻表、101年目が始まりました。
入江:パッと見てわかりやすいことを追求し続けると同時に、旅の楽しみや、役立つ情報を提案し続けてきた100年ともいえます。今、100周年記念イベントも開催しており、時刻表編集部と行く限定列車や廃線跡歩きなど、オリジナルツアーも計画中です。
時刻表を使ったことがないという人に、私が提案したいのは、時刻表を見ながら、時刻表上で日本全国の鉄道を完乗すること。北海道や九州を一周したり、本線を始発から終点まで乗るなど、さまざまな楽しみ方があります。時刻表は欄外に駅弁などの情報も書いてあるので、開けばそこから旅が始まるはずです。
――日本の近代化とともに拡大してきた鉄道。その使い方マニュアルともいえる時刻表には、たくさんの情報が詰まっている。読み方のコツをつかんだら、過去の時刻表での旅を楽しんでみたい。復刻版の時刻表をひもとくと、現在ある路線が開通前で地図上になかったり、今は走っていない列車が掲載されていたりと、鉄道は意外にも変遷が多いことがわかる。時間旅行感覚で、時刻表旅をするのも、また一興だ。
⚫︎お話を伺ったのは……JTBパブリッシング 時刻表編集部担当マネージャー入江一也さん

『時刻表大解剖』 JTB時刻表編集部編著 1760円 JTBパブリッシング

時刻表に収録されているのは、列車やバス、船、飛行機の時刻、運行に関する日付、列車の番号、運賃や料金といった、数字が多くを占めています。一個一個の数字は、0から9までの値を示す記号・文字にすぎませんが、意味や役割をもって配置されています。『時刻表大解剖』は、時刻表という“数字だらけの紙の塊”を解きほぐし、時刻表とはどのようなものであるか、時刻以外の要素も含めて、載っている中身とそこから知りえることに関して探究した、時刻表版・解体新書です。
