国内旅行へ出かける人が増え、「お得」な旅行情報が巷に溢れる。どのような情報に接し、何を選択すれば最適な旅行が計画できるのか。旅行や航空業界に詳しい専門家に聞いた。
得する旅行術5か条
1.予約は早めに
2.平日の予約やシニア割を活用
3.インターネットやスマートフォンを利用
4.交通系ICカードなどで支払いをキャッシュレス化
5.最新の情報を常に確認
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、自粛を強いられてきた国内旅行だが、旅行代金を補助する「全国旅行支援」の実施により盛り上がりを見せている。しかし、自治体ごとに割り当てられた予算がなくなりしだい終了となり、GW期間は対象外となる。そこで、旅行支援以外のお得な情報を知り、今後の旅に役立てたい。
これを機に、旅行計画の立て方や旅先での移動・観光などについてもう一度見直してみたい。交通機関だけでも様々な割引の制度があり、どれが自身の旅に向いているのかすぐにはわからない。そこで、旅行や航空業界の事情に詳しい鳥海高太朗さんに、お得に旅行ができる「秘訣」を聞いた。
「安価で便利、急な変更にも対応。これからの旅行はデジタルが決め手です」
「基本のキとして、早めの予約、これにつきます。例えばJALやANAの航空券の早割(早期の予約割引)であれば、もし旅行が中止になっても搭乗の55日前なら払い戻し手数料や取り消し手数料の負担が少なくてすみます。具体的な旅行計画を立てていなくても、目的地が決まったら、とりあえず航空券だけ先に予約しておくのも手です」
航空券は残席数に応じて割引率が大きく変動するので、早めの予約を心得たい。また、航空各社の多くはシニア割引制度(主に満60歳または満65歳以上を対象)を導入しているので、ホームページなどで確認するとよいだろう。
平日の旅行が狙い目
陸路について鳥海さんに聞いた。
「主に鉄道での移動が中心になるかと思います。JR東日本では『えきねっとトクだ値』、JR東海は『EX早特』などの早割を設定しています。新幹線を使う機会が多ければ、各社の会員になることをおすすめします。また、よりお得な割引としてシニア向けの会員制度があります。例えば、JR東日本の『大人の休日倶楽部パス』(期間限定、会員制)では、新幹線や特急の座席指定も取れ、鉄道の旅で活躍します」
鳥海さんはこう続ける。
「いずれにしても、旅行をするなら予約の取りやすい平日が狙い目です。繁忙期を避ければ宿泊代も下がりますし、旅行全体の費用を下げることができます」
以上のような旅行の手配は、パソコンやスマホを使うネット予約が前提である。ただし注意点もあると鳥海さんは語る。
「お得な予約ができる反面、ネットでの予約は基本的に自己責任。予約の日にちを間違えたり、条件によって宿のキャンセルができなかったりと、注意が必要です。最初は扱いに慣れた家族にやってもらうか、経験者に訊ねながら操作をするのがよいでしょう」
現金を持ち歩かなくてよい
「SuicaやPASMOなどの交通系ICカードや、スマホのQRコードなどの『デジタルマネー』で支払いができる施設が格段に増えています。少額の支払いは交通系やスマホ、宿代などはクレジットカードと使い分けるとよいでしょう。現金をたくさん持ち歩く必要はなくなりました」(鳥海さん)
鳥海さんは、これまで以上に旅行にスマホは必携になったという。
「旅先で使える地域クーポンなどは、スマホの画面に表示させて使うことが前提のものが多くあります。施設の入場券なども、あらかじめスマホで購入しておくと現地での購入時間が省けます」
旅の予約から旅先での支払いまで、すべてスマホ1台で完結する時代が到来している。
「いずれにしても、重要なのは情報です。信頼できる人のSNS投稿や、航空会社や鉄道会社のサイトをまめにチェックしていると、自分に合った旅や割引が必ず見つかるはずです」(鳥海さん)
解説 鳥海高太朗さん(旅行、航空アナリスト・44歳)
●掲載している割引制度などの内容は、3月20日現在の情報です。
取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平(静物)
※この記事は『サライ』本誌2023年5月号より転載しました。