【ビジネスの極意】リモートワーク時代は、ビジネスパーソンの中身が9割

働き方改革といわれ、仕事の仕方も従来とは大分変化してきた。最近では、出社せずともリモートワークとして、自宅や出先で作業が可能な状況もある。そんな時代のビジネスパーソンの在り方とは、どのようなものだろうか。

リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」から、新時代のビジネスパーソン像を考察してみよう。

* * *

リモートワーク時代の「見た目」の逆転現象

長年、「ビジネスは見た目が9割」といわれてきました。信頼性、清潔感、自己管理能力、すべてが見た目に表出するので、第一印象はだいたい正しく、直感的に人を見抜けるという論説です。9割という数字にも、根拠として視覚情報:聴覚情報:言語情報が55:38:7という「メラビアンの法則」が用いられています。

それはある意味、正しかったのでしょう。では、そのビジネスにおける見た目第一主義は、リモートワークの時代になってどう変化するのでしょうか?結論からいいますと、リモートワーク時代には、ビジネスパーソンの中身が9割になります。今回はその話をみていきます。

ビジネスは見た目が9割

グローバルに活躍するビジネスパーソンが書いた『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(塩野誠著)では、見た目も非常に大切なビジネスの要素だということが書かれています。この本は見た目の本ではなく、あくまで思考について書かれているのですが、ビジネスの作法として見た目も大切な一要素だという話です。

この本によると、

清潔感

色づかい

小物

笑顔

の順番で、ビジネスパーソンの見た目の問題が語られています。これほど大切なことはありません。対面するのであれば、この4要素は非常に重要だと考えられます。人は第一印象を直感で判断する傾向があります。

また『直感力』(メンタリストDaiGo著)では、直感の90%が正しかったというイスラエルの大学の調査が掲載されています。直感とは、本人の経験値や膨大な脳のデータベースから導き出された、無意識レベルの高性能意思決定プロセスでもあります。

つまり、ビジネスパーソンがそれまでの人生で、(会社員としては若手でも)、ビジネスシーンでも学校生活や日常や旅で出会った膨大な人の印象とその後の相手の行動から、「この人は仕事ができそう」「この人はちょっと嫌な予感がする」といった経験値が積み重なって、直感という形で表出するのです。

リモートワーク時代の第一印象とは?

しかし、リモートワーク時代になったらどうでしょうか。前述の本は何年か前のものであり、令和の時代になった今では、リモートワークが進んでいます。リモートワークでは、まず自分ひとりで自宅やコワーキングスペースやカフェにて就労するため、極端な話、色づかいや小物といったものは、そもそも見えません。よって、ほとんど関係なくなるのです。

では、リモートワーク時代に何が必要か。

たとえば、テキストコミュニケーションが多くなります。ChatWorkやSlackといった、静的なコミュニケーションツールを駆使しながら、細かい会話の機微を読み取り、より高度なコミュニケーションを可能にしなければなりません。

テキストのコミュニケーション力。それは、もういってしまえば中身です。ビジネスパーソンになるはるか前、学生時代に「学歴やテストの点数ではなく、中身をみてほしい」と青いことを考えませんでしたか?その中身が評価される時代が来たのです。

見た目が評価されないことで、ブランドをどう築く?

たとえば、意思のかたそうな外見、厳しい視線、きちんと伸びた背筋、手入れの行き届きた小物とスーツなど、ビジネスパーソンとしての有能さが感じられる見た目をしている人がいます。そういう人たちは、カリスマ性を持って見えることでしょう。見た目の第一印象が非常に意欲的かつ誠実に見え、実際に有能な方々です。

カリスマ性やブランド力は、まず見た目の第一印象からやってきて、周りが実際に一緒に働いてそのブランドと仕事力のギャップの少なさに改めて心酔し、またブランドが強化されるという形になります。従来では、ビジネスパーソン個人の信頼は、そうやって構築されてきました。

では、リモートワークで相手が見えない時代に、ビジネスパーソンの力量はどうやって推し量られるのでしょうか?

それは、「言語化力」ではないでしょうか。というより、言語化力のほかに決定づける要素がありません。自分が行っている仕事の意味合い、チームが持つべきビジョン、タスクの意味付けを再定義するなど、さまざまな言語化が必要になってくるのです。

多様性は内面こそが問われる社会に

言語力を説明する前に、社会の変化を見てみましょう。

いま、多様性(ダイバーシティ)が非常に言われています。ダイバーシティは、他者を現在の属性や生まれ持ってのもので判断せず、個を個としてとらえ、ありのままを受け入れチームや組織を強化する思想です。

多様性は(もちろん人権の観点から必要とされるものでありつつも)、人材のポートフォリオが安定してより強いチームをつくるのに役立ちます。その内実は、人の個性つまり内面を重んじるということです。

これはリモートワーク時代と非常に相性がいい価値観だと考えられます。文字通り、内面が重視されるようになったからです。

内面を磨く言語化スキルとは?

では、その内面を磨く言語化力とはどのようなものでしょうか?

たとえば、状況説明力などは容易に理解できます。自分の置かれた状況を適切に説明する力です。認知が歪んでいたら、この状況説明力は磨かれません。そのためには、成果で判断されるリモートワークにおいて、何が仕事のボトルネックになっているのか、きちんと現実を見つめることが大切になってきます。

また、他者からの指摘を素直に受け入れ、人格面の成長へとつなげるオープンマインド。これもある種のヒューマンスキルです。そこにも、言語化力は大きく関係してくるでしょう。

さらには、仕事そのものや、プロジェクトに関わる人を愛する力も大切になってきます。好きになる力は、「問いかける力」に分解できます。なぜ自分は、この仕事を始めたのか、自分は仕事を通じて何を求めているのか、何を実現したいのか、そうした心への問いかけによって、好きになる力が育まれます。それもある種の言語化力ですね。

リモートワークのこれからを説いた『どこでも誰とでも働ける』(尾原和啓著)では、スイスで美少女ゲームを作り、ローカルで楽しく暮らす人の話が少し触れられています。「オタク向け美少女ゲームを作るのであれば、来日して秋葉原などで開発を行えば?」という問いかけに対して、「日本のゴミゴミした感じは嫌い」とはっきり言語化し、美少女ゲームを作りながらもスイスに暮らすプロジェクトマネージャーの話です。

これもまた、内面の言語化であり、自分の心がとても大切になってくるのです。

まとめ

見た目をビシッと決めて世界を駆け回るビジネスパーソンから、コンピュータの中でインターネット上をあちこち走り回るリモートワーカーへ。リモートワークが増えてくる世の中で、私達に求められるものはよりシビアになってきます。

なぜなら、内面こそが問われるようになったからです。これは個人の中身が問われているということであり、かつては上級職にだけ求められた人間的な成長が、誰しもに等しく求められるようになったのです。

文字通り、「試されている」のです。心に訪れる深刻な危機を乗り越えていく力。そのひとつに、言語化力はあります。人に見られる内面と、自分が見つめる内面と。二重の意味で、ビジネスシーンにおいても、これからは内面がより重要になってくるのであり、その格差も広がっていくことでしょう。

著者:名もなきライター

【参照】
『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(塩野誠著)
『直感力』(メンタリストDaiGo著)
『どこでも誰とでも働ける』(尾原和啓著)

* * *

いかがだっただろうか? 「人は見た目」から内面を見る時代への変化。今まで、「本当の自分を見て欲しい」と思っていた人にとっては歓迎される時代になってきたのかもしれない。だが、内面を見る、ということは、自分自身の研鑽がいままでよりさらに重要になってくる、ということを忘れてはならないだろう。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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