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文/鈴木珠美

救ってくれたのは同じ悲しみを経験した犬仲間と今の愛犬
愛犬が天国に旅立ち、辛いペットロスを体験した飼い主さん。それぞれどのようにペットロスと向き合ってきたのでしょうか。

【CASE1】救ってくれたのは同じ悲しみを経験した犬仲間と今の愛犬

10年ともに過ごしてきた愛犬を亡くした舞子さん(仮名)は、愛犬が亡くなった当初、自分でも想像していないほどの辛い日々を送ることになりました。「愛犬は重い病気になったこともなく元気いっぱい。ですからまだまだ長生きすると思っていたんです」。

ところが舞子さんの予想とはうらはらに、突然愛犬の死はやってきたのです。「夜中に少し吐いたのですぐに動物病院に連れていったのですが、そのまま容態が悪くなって」。あまりの突然のことに舞子さんはその現実を受け止めることができませんでした。

愛犬が亡くなった日は仕事に行くこともできず、泣き明かしました。翌日から会社には行ったものの仕事に集中できず終い。そんな状態が1週間ほど続き、日に日に元気がなくなっていく舞子さんの様子を心配した、友人や会社の同僚からも温かい励ましの言葉を受け取りました。

「それは大変だったね、寂しいね」
「早く元気になってね」

ありがたく言葉は受け取ったものの気持ちは晴れることがなく、1か月が過ぎても愛犬と同じ犬種の犬を目にすると涙がふいにこぼれたそうです。泣いちゃダメと思う前に涙が勝手にあふれ出てしまい、制御することができなかったと舞子さんは言います。

最初は心配していた友人や会社の同僚も「まだ落ち込んでいるの? 早く気持ちを切り替えないと」というニュアンスの言葉に変わり、落ち込み続けている舞子さんに対して「ネガティブなことばかり考えているからだ、もっと前向きに考えないと」と、叱咤激励……、なかには叱責に近い言葉のように感じるものもあったそうです。

「私が悪いんだと思いました。いつまでもくよくよして、愛犬の死を受け止められないのは、自分が弱いせい。励ましてくれた周囲の人たちのためにも早く元に戻らないと、申し訳ないという気持ちでした」

ところが頑張っても、頑張っても気持ちは上がるどころか下がるばかりで、舞子さんは深い暗闇から抜け出すことができずにいました。

犬で起こった悲しみは
犬でしか乗り越えられないのかもしれない

そんなときに出会ったのは今の愛犬。犬の散歩仲間のひとりが知人の家で、子犬が産まれて引き取り手を探しているという情報を聞き、舞子さんに話をもってきました。「最初はほかの子なんて考えられない……」とすぐに断ったそうですが、犬仲間のひとりが強引に舞子さんを連れだしてくれたのが良かったそう。

「ぽてぽてと歩いてきてちょこんと私の膝の上に座ったんですよね。その様子が本当にかわいくて。一緒に帰る?、と聞いている自分がいました」

長く苦しい悲しみ。どこまでこの暗いトンネルは続くのだろうと思っていた舞子さんでしたが、今の愛犬が膝の上に座った瞬間に、何重にも巻かれた心の鎖がすーっと溶けていくのを感じたそう。

「本当に無理だからと頑なに拒んでいました。強引過ぎる犬仲間にちょっと怒ってもいたんです。のちに分かったことなのですが、私に今の愛犬と出会わせてくれた方は、ご自身も辛いペットロスを経験していました。振り返ると感謝しかないですね。

私の場合ですけど、犬で起こった悲しみを埋めるのは、犬でしか埋められないのかなって思いました。本当にこの子に救われました」

文・鈴木珠美
カーライフアドバイザー&ヨガ講師。犬とドライブ、犬の健康づくり等、愛犬のための編集ライターとしても活動中。出版社を経て車、健康な体と心を作るための企画編集執筆、ワークショップなどを行っている。女性のための車生活マガジン「beecar(ビーカー)https://www.beecar.jp/ 」運営。

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