両親の復縁の話が出たとき、嬉しかった
父の新しい新居に、靖子さんは夫、子どもと共に招待される。そこで父親から母親との復縁を望んでいることを聞かされたという。
「びっくりしました。母親との関係は続いていたとは聞いていましたが、それはあくまでも友人関係としてだと思っていたので。父の新居は1人で暮らすには大きいなとは思っていたのですが、母親と暮らしたいという父の思いが含まれていたようです。
そんな父の思いは、私が聞いたときには母親に伝え済みとのこと。当時はまだ保留されていました」
母親と父親の復縁を望む気持ちは、靖子さんの中で次第に幸せなものに変わっていったという。その思いを、靖子さんは母親に伝える。
「説得するつもりはなく、母親からその話題が出たときにだけ、自分の思いを伝えようと思っていました。私は、離婚後に両親の関係が良くなって嬉しかったこと、4人で食事する機会が楽しかったこと、それに老後は楽に暮らしてほしいことを伝えました。父親には悪いですが、これからの人生を楽に暮らすために、父を利用したらいいと母親に伝えました。
母親はやや苦笑いを浮かべながらも、そうねと言いながら頷いてくれました」
その後に両親はお試し同居からスタートし、2年後に再婚した。
「両親は今まで一緒に暮らしていたのはずっとマンションで、ペット禁止だったんですが、初めて一軒家では入籍したタイミングで犬を飼い始めました。そのワンちゃんは私と兄がプレゼントしました。今は両親とも仕事を引退していて、犬もシニアと言われる年齢になったこともあり、2人と1匹でゆっくり散歩しているそうです」
一度壊れたものが元に戻る可能性は限りなく少ない。靖子さんの両親にとって、離れていた時間は必要だった。一度離れたからこそ、互いを深く思いやれるようになったのだろう。以前と同じかたちには戻らないかもしれないが、変化を受け入れることができれば、家族の絆はもっと強固になっていくはずだ。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
