きょうだいが独立した後、はじめて家族3人での生活が始まった
離婚後に実家に戻った頃には、兄と弟は実家を離れていて、初めて両親との3人での生活が始まった。母親とは以前よりも仲良くなったものの、父親とは2人きりになると何を話していいのかわからなかったという。
「3人だけで生活したことがなかったんですよね。一時的に3人になることはあっても、私が結婚で家を出るまでは弟が家にいましたから。母はパートでしたが働きに出ていて、前よりも化粧や服に興味を持ち始めて、私と一緒に買い物に行ったりするようになりました。
でも父は、兄とは真剣な話をして、弟とは一緒にゲームをしたりしていたけれど、昔から私とはあまり2人で会話をしていなかった。だから、いざ大人になってから父と2人きりになると、昔は感じなかった気まずさもあって、話題を必死に探している自分がいました。それは父親も一緒だったと思います。私といるときはその無言の時間に耐えられないのか、新聞や雑誌などを手に取るようになっていましたから」
父親はお酒が好きだったこともあり、仕事帰りに飲んでくることも多かった。休みの前日は家に帰ってからもお酒を飲み、翌日にはほぼ寝ているような生活を送っていた。
「母親はお酒が飲めなかったんです。うちの家族で父親に付き合えるぐらいお酒が飲めるのは兄しかいませんでした。だから、兄が家を出てからは父は外で飲んで帰って来て、足りないときは1人でテレビを見ながら無言でお酒を飲んでいました」
休日の父親は二日酔いでほぼ寝たきり。一方の母親は、外で働くようになってから休日は友人と出かけることが多くなっていた。
「大きなケンカをしたわけでも、あからさまにお互いを無視するような険悪さもなかったので、休日に両親が会話しないことを気にはしていませんでした。私の再婚が決まって家を出るときも、私は別に2人の仲介役だったわけでもなかったから、両親が2人きりになることに対して何の心配もしていませんでした」
両親の関係は、父親の禁酒が決定打に。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。