両親の前で泣いて離婚を阻止した
「両親の離婚の話し合いは自分が寝た後の深夜に行われるはず」。そう思った優香さんは寝ずに両親が顔を合わせる機会を待ち、「離婚しないでほしい」と訴えたという。
「母親と離れないためには、これしかないと思ったんです。中学生にもなって母親と離れたくないという思いだけで行動するなんて、今振り返るとなんて子ども何だろうって思います。でも、あのときはそれしか頭にありませんでした。
父親は今まで通りあんまり帰って来ないんだから、お金だけ渡してくれればこのまま母親と楽しく暮らしていけるって思ったんです」
一人娘の直談判により、その後両親はやり直そうという話になる。両親が仲良く話す姿を見ることはなかったが、言い合うような声も聞かなくなった。しかし、徐々により父親の存在を確認することがなくなっていったという。
「私のために離婚しないでいてくれた。それだけで十分でした。両親の言い合いの声が聞こえなくなっただけでも十分嬉しくて、仲良くしてほしいなんて思っていませんでした。現状維持でいいと思っていたんです。
そんな中、いつからか母親が父親のご飯をまったく用意しなくなり、父親も朝と夜遅くはリビングに居たのにそれもなくなり、より父親の存在を家で感じなくなっていきました。でも、それが気になったのは最初だけ、徐々に父親は居なくて当たり前となっていきました」
母親は優香さんの高校進学とともに仕事を始める。働きに出る母親の姿を見る度、優香さんの不安は強くなっていった。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。