3年の不妊治療を経て、妊娠。母親は泣いて喜んでくれた
中学の時に県内の別の区に引っ越すことになったそうですが、それにはある理由があったと言います。
「母方の祖母が体調を崩して、一緒に住むことになったんです。一緒に同居することになってから、祖母の病院代などの負担も加わり、家計はもっと厳しくなりましたね。高校の時はそこまで感じなかったんですが、大学に進学してからは学校の教科書などは自分のアルバイト代から出していました。それに部屋のテレビなどの家電も自分で買うようになっていましたね。一番辛かったのは、就職活動でパソコンが必要だったんですがアルバイト代が足りなくてなかなか買えなくて……。就職活動に遅れをとることになるんですが、そんな時でさえ親に頼ることは頭にありませんでした。大学に行かせてもらえたんだからと」
決まった就職先はドラッグストア。毎日忙しく働く中でやっと彼氏もでき、その男性と27歳の時に結婚。しばらくは働きながら妊活をしていたそうですが、なかなか子供を授からずに不妊治療を開始。その甲斐もあり、30歳の時に妊娠することができたそう。
「働きながらの妊活はなかなかうまくいかず、どうしても早く子供が欲しかったので仕事を辞めて妊活に専念しました。母親は早くに子供を産んでいて不妊の気持ちなんてわからないと思いつつもやっぱり頼れるのは母親だけだったので不妊の辛い気持ちなどの話をよく聞いてもらっていました。
3年弱の不妊治療の甲斐もあり、30歳の時に妊娠がわかったんですが、その時に母親が泣いて喜んでくれたんです。今まで泣いた姿をあんまり見たことがなかったから、本当にびっくりしたし、そこまで喜んでくれたのが純粋に嬉しかったですね。
妊娠中は特に不調もなく、つわりも軽かったです。でも、子供は産まれてきた直後にある疾患が見つかってしまって……」
生まれてすぐに発覚した心臓の雑音。一緒に退院した子供はすぐに小児病院へ。繰り返し襲う子供の不調に気が滅入ってしまった真琴さんを救ってくれたのは母親の言葉でした。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。