選択的子なしは未来まで続く約束のはず

このまま結婚生活が進むと思っていた彩子さんですが、夫が避妊を拒否し始めたことから、夫が子どもを求めていることが発覚する。夫は『子どもが作れる期限があるんだから!』と声を荒げてきたという。

「最初は避妊をしたくないことに性的な理由を並べていた夫ですが、私が『子どもができたらどうするの?』と質問したら『産めばいい。何の問題もないよ』って。その言葉で夫婦のいい雰囲気の場は修羅場になりました。子どもを作らないと決めたのに、年齢的な期限が迫って、欲しくなったと夫は言ってきました。それに加えて、『両親も孫の誕生をずっと待っている』と。

私は意見が変わってしまった夫とこれ以上話す気になれず、その日はもう深夜だったから何も言わずに眠りました」

その後に夫婦は話し合うも平行線のまま。子づくりはどちらか一方が拒否した場合は成立することはない。今は夫婦生活の時間もなくなり、「一緒の時間を共有することに苦痛を感じている」と彩子さんは訴える。

「友人に相談しても、『欲しくなったときに無理だったらどうするの?』と年齢的なリミットを言われたり、『子どもはかわいい』と夫側の意見がほとんど。私が意固地になっているように見られるんです。

それに夫は妹がいるんですが、妹夫婦の子どもを義両親は私たちの前でとても可愛がっていて、それが無言の圧力に感じてより夫といることが窮屈になってきています」

40歳を目前にしたタイミングで彩子さんは「子どもが欲しいなら私じゃない」と夫に伝えたという。夫はそれに対して何も言ってこなかった。

年齢とともに価値観が変わっていくことはよくあることだが、子なしを選択するということは今ではなく未来を約束することになる。彩子さんは現在は離婚を選択していないが、価値観の違いは離婚理由に十分になり得るだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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