【義家族との間】「家族の仲良しごっこに巻き込まないで」母と熟年再婚した相手は、小学生の頃に見た男だった～その２～

取材・文／ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義（理の）家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

内閣府男女共同参画局が作成した「結婚と家族をめぐる基礎データ」（令和４年３月２日）によると、全婚姻件数に占める再婚件数の割合は1970年代以降上昇傾向にあり、2020年時点で26.4％に増えている。結婚する夫婦の４組に１組は、夫婦とも、またはどちらかが再婚だということである。また、厚生労働省が公開している『人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況』（最新は平成28年）によると、平成27年に再婚同士で婚姻した人の平均年齢は、夫46.5歳、妻42.7歳となっている。夫婦とも再婚の場合には40代以上の年齢層がメインとなるようだ。

今回お話を伺った由里さん（仮名・43歳）の両親は由里さんが高校に進学する前に離婚。その後はしばらく母親と２人きりの生活を続けるが、そんな中、母親が付き合っている男性を紹介してくる。その男性とは、由里さんが小学生の頃に何度も会ったことがある人だった。【その１はコチラ】

再婚に引っ越しは確定事項。ただ伝えられただけ

母親と２人で過ごすときにその男性についての会話は一切なし。しかし、たまに３人でと食事に誘われることがあり、由里さんは断ると角が立つと思い、できる限り参加していたという。

「本当は行きたくなかったですよ。正直なところ、２人で勝手に仲良くしてくれって思っていました。でも、母親がその男性と私のことで悩んだりしたら嫌だなって、表面上はおとなしくしていました。食事の頻度もそんなに多くなかったし、ギリギリ角が立たないように３回に１回は断っていたので。

そのぐらいの関係なら付き合っていけると思っていたんです。だっていい大人同士で、再婚を考えているなんてまったく思っていませんでしたから」

再婚したいと言われたのは、大学の４年生でやっと就職が決まった頃。「再婚する」「引っ越しする」と決定事項のように言われたことに対して、怒りに近い感情が芽生えた。

「私もまだ学生だったけれど、20歳も超えていたから、反対されることはないと思ったんでしょう。まだ事後報告じゃないだけマシと思うしかないのかな。引っ越しすると言われたときに、そこまでちゃんと考えていなかったけれど、一人暮らしを決意をしましたね。内心、予定外のことにイライラが止まりませんでしたが、表面上には怒りは一切出しませんでした」

【家族の仲良しごっこに巻き込まないで。 次ページに続きます】