母親と2人きりで話す男性のことをずっと覚えていた

由里さんの家は分譲マンションで父方の祖父母の援助もあり、離婚当時には数年のローンが残っているだけだった。また、母親も由里さんが中学生の頃には正社員として仕事に復帰しており、お金での苦労はなかったという。

「当時、父親にPHSを買ってもらって、そこから父親とは定期的にやりとりをするようになっていました。最初は照れくさかったけど、父親とは両親が離婚後のほうが仲良くなった気がします。

母親も、父親と連絡を取っていることに対して何も言って来ませんでした。高校の頃は母親とのほうが仲は良くなかったです。一緒に暮らしているのだからと2人の時間を作ることはしませんでした。だから、母親が男性と出かけていたこともまったく気づいていませんでした。母親は働いていたからずっと身なりにも気を遣っていたし、友人も多かったので」

母親に付き合っている男性がいることを知ったのは、母親からその男性を紹介されたから。その男性は、由里さんが小学生の頃に何度も会ったことがある人だった。

「母親の元同僚だったんです。母親は結婚を機に一度仕事を辞めたのですが、元同僚という人たちが家によく遊びに来ていました。その中には女性もいましたし、男性もいました。男性の場合は女性を連れて単独で来ることはなかったのに、一度だけ、小学校から帰るとその男性と母親がキッチンのテーブルで2人きりで話していたことがあって。『このおじさんと何かあるのかな?』と少し気持ち悪かった記憶が残っています。2人はテーブルを挟んで話していただけなんですが、その2人きりということに対して嫌悪感があったんだと思います。

その男性を、母親から付き合っている相手だと紹介されました」

その男性は常に由里さんに気を遣い、優しかったというが、由里さんの嫌悪感はあることがきっかけでピークに達する。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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