夫は妻の代わりに入社した人と不倫
杏那さんはデザインのパソコンスキルを学ぶ専門学校を卒業後に、都内にあるパンフレットやチラシなどを製作する企業に就職。仕事は残業が当たり前。その職場で夫と出会ったという。
「年齢は4つ上なんですけど、夫は中途入社で入社は1年違いでした。先輩というよりも距離が近くて、入社して1か月もたたないうちから2人で遊ぶような関係になりましたね。付き合ったのはいつの間にかという感じ。一応周囲には隠していましたけど、バレバレだったと思います。結婚の報告をしたときに誰も驚きませんでしたから(苦笑)」
29歳と34歳で結婚した後すぐに杏那さんは妊娠。小さな会社だったこともあり、産休ではなく退職を選択した。
「結婚を機に、妊活というかいつできてもいいというスタイルにしたらすぐに授かりました。忙しい職場だったので子どもを身籠りながら働くのは周囲に迷惑をかけてしまうと思い、退職しました。そのときに復帰したくなったらフリーでどうですか? と声を掛けていただいたのです」
その後、杏那さんは男の子を無事出産。産後はフリーランスとして元職場からデザインの仕事を請け負っている。元職場に夫はそのまま勤めており、杏那さんの友人でもあった同僚から夫に関する嫌な噂を耳にしたという。
「私の代わりに入った女性とすごく仲がいいと。以前の私たちのような、男女の独特の雰囲気があると言っていました。何か証拠があるわけではなかったのですが、その話を聞いてからはやっぱり気になって、夫の携帯をチェックしてしまいました。そしたら、決定的な証拠ではなかったものの、毎日『お疲れ様(絵文字)』とフランクに連絡を取り合っている人がいました。
私はまだ小さい子どもを抱えていたので、同僚や友人に協力してもらって浮気の証拠を見つけることに成功しました」
夫婦と共通の友人、そしてその女性と話し合いの場を設け、女性が仕事を辞めることを条件にその場だけで解決したという。大事にしなかったのには、捨てられなかったという安心感があったからだと振り返る。
「そこで浮気相手をとる場合だってあったはずです。でも、夫は必死で私に謝り、不倫相手も泣きながら謝ってきました。もちろん不倫なんですけど、あくまでも『出来心』という感じだったので。私も早く忘れたかったんです」
しかし、そんな杏那さんの気持ちは裏切られることになる。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。