妊娠したことを義母は「お父さんの生まれ変わり」と喜んだ

元夫との出会いは、勤め先。建築デザインなどを扱う企業に派遣社員として働き始めて2か月ほどで恋愛関係になった。付き合って3か月ほどのときに相手の父親が病気のために亡くなってしまい、そのことがきっかけとなり毎日一緒にいるようになったという。妊娠はその延長線での出来事だった。

「親を亡くすことがどんなに辛いことかほんの少し前に体験したことだから、相手の悲しみをすごくもらってしまって。それまでは姉の家にお世話になっていたんですが、1人にしたくなくて、同棲状態になりました。

同棲しているときに、夫は毎日のように義母に電話したり、様子を見に行ったりしていました。夫は一人っ子だったから、自分がなんとかしなくてはという思いが強かったんでしょう。私はそんな夫を見て、純粋に優しい人なんだなって思いました。だから子どもができたとわかったときも嬉しかったし、この人と結婚したいと思いました」

義父が亡くなって半年ほどでの入籍となり、結婚式も両家の挨拶もすることなく、義母への報告のみで終了。義母は「お父さんの生まれ変わり」と涙を流して妊娠を祝福してくれた。

「結婚よりも子どもがいることに対して喜んでいたことには少し思うところはありましたが、夫からも『父が亡くなって以来一番嬉しそうだ』と少し涙ぐみながら言われたので、役に立てたような誇らしい気持ちでした。2人の涙を見て、私の家にはなかった、家族全員が笑っているような家庭を作っていこうと誓ったんです」

仕事は晴香さん夫婦の意向もあり、派遣会社と派遣先会社との話し合いにより契約解除に。そのまま家で安静にしていたというが、7か月目のときに切迫早産になり、約2か月の長期入院を強いられることになった。

「風邪を引いてしまって、そこから感染症になり、お腹が張って強い痛みに襲われたんです。そこから24時間で点滴を打たれ、絶対安静。その2か月の間は自分の行いによって子どもを危険な目に遭わせてしまったと後悔ばかりしていました。そんな鬱々とした気持ちを夫や姉、妹に吐き出すことで保っていたんです。

義母ももちろんお見舞いに来てくれていましたけど、最後には『気を遣わせたら悪いから』とお見舞いも自粛してくれて。でも、夫に色んな手芸の手作りキットを渡して差し入れしてくれていて。体調が少し落ち着いてからはそれで子ども用のぬいぐるみとか、靴下とかを作っていました」

少し早産だったものの無事に子どもを出産。その後久しぶりにわが家に戻ると、ありえない光景が広がっていた。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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