「コロナ禍、大規模金融緩和により日米欧で刷り散らかされたマネーはおよそ1600兆円。あり余る巨大マネーが投資先を求めて日本に押し寄せ、史上最大の資産バブルとなることが予想されます。そして、この巨大バブルがきっかけとなり、金融グレート・リセットなどの大きな時代の転換期がやってきます。現在はFRBの利上げの影響などで日米ともに株価が落ち込んでいるが、何かのタイミングをきっかけに急上昇する可能性が高い」と説く、不動産コンサルタント・長嶋 修氏の著書『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』から、大きな変化を見せる政治、経済、金融市場の動向についてご紹介します。

文/長嶋 修

不動産市場の3極化が進み、東京都心を中心とした局地的なバブルはさらに進行する

歴史を見れば、世の中というものはいつでもその時代なりの新しい要素を組み込みながら、「歴史は繰り返さないが韻を踏む」といったパターンを描きながら時代を織りなしていくものです。

「新しい要素」とは、例えば「少子化・高齢化」「人口減少」「民主主義の劣化」、前述した「金融システムの行き詰まり」「気候変動」「AI化・ロボット化の進展」「データ主義の台頭」など上げればキリがありません。

「繰り返す歴史」とは「好況と不況の波」「資本主義経済システムの過渡期と変革」「文明論的な世界の胎動」など。

福沢諭吉は『文明論之概略』において「文明論とは、人の精神発達の論議なり。その趣旨は一人の精神発達を論ずるにあらず」としており、その中身を要約すれば「社会・時代の変化に応じて私たち1人ひとりのみならず人類全体の精神性や考え方や生き方をどうするか」ということ。

これまで大きな時代の転換期には常にその時を生きる人々の価値観や常識を変えてきましたし、今後もそうなる可能性が高いゆえ、私たちはここで、時代の潮目を把握しておく必要があるのかもしれません。

1990年のバブル崩壊前後では社会の空気感が別世界のように変わりましたし、1945年の「戦中」と「戦後」では「鬼畜米英」「欲しがりません勝つまでは」の前提が一転、「日米同盟」「高度経済成長」へガラリと社会が変革しました。1868年の幕末から明治維新への流れも言うに及ばず、武士が消えてあっという間に近代化が進みました。

2020年1月に新型コロナウイルスが日本に上陸し、同年4月7日に東京、神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県で、16日には全国で緊急事態宣言が発出されたときも同様。日経平均株価は年初の2万4000円台から一気に1万6000円台にまで落ち込み、インバウンド需要はほぼ消滅。ホテルは閑古鳥が鳴き、飲食店なども大打撃を受けます。多くの企業が在宅勤務(リモートワーク)を推進することで働き方・仕事のあり方も劇的に変化。人心は大きく動揺しました。

不動産業界に関するメディアの論調も「不動産バブルが崩壊する!」「都心から都市郊外や地方へ人が逃げ出す!」といった主張がメディアやSNSに溢れましたが、筆者は一貫して「そのようなことは起こらない。むしろこれまで通りの3極化が加速し、東京都心を中心とした局地的なバブルはさらに進行する」と申し上げてきました。実際にその通りになっています。

「不動産市場の3極化」とは以下のようなイメージです。

(1)価値を維持する、あるいは価値が上がる不動産 15%
(2)なだらかに下落し続ける不動産 70%
(3)限りなく無価値になる、あるいはマイナス価値となる不動産 15%

アフターコロナにおける都心・都市部の不動産市場は絶好調。一方で大多数の不動産価格は下落を継続し、一部には無価値のものも、というわけです。

* * *

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長嶋 修(ながしま・おさむ)
1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経済省の様々な委員を歴任。2019年より始めたチャンネル『長嶋 修の不動産経済の展開を読む』(現在は『長嶋 修の日本と世界を読む』に改題)では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。テレビ出演、講演等実績多数。著書に『不動産格差』(日経新聞出版)など多数。

 

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