近年、日本では男性の生涯未婚率が上がっています。「生涯未婚率」とは、国が調査するもので、50歳の時点で一度も結婚の経験がない人がどのくらいいるのかを示したものです(※1参照)。これには、いったい何が起因しているのでしょうか。

参考となるのは、2017年の出生動向基本調査(※2参照)です。この調査によると、結婚の障害として「結婚資金」を挙げている人が41.9%にのぼりました。これらのデータから、独身男性にとって「結婚するかどうか」は経済的な要素が大きく影響していると言えそうです。

そこで今回、株式会社ネクストレベル(https://next-level.biz)が運営する「縁結び大学」が、独身男性177人にアンケート調査を行い、男性の年収と結婚願望の有無との関係を調べましたので、ご紹介します。

周囲に「結婚願望のない男性」がいらっしゃる方は、この記事から本人の本音を見極め、理解するヒントにしてもらえればと思います。

※1 厚生労働省「50歳時の未婚割合の推移」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/02-01-01-02.html
※2 第15回出生動向基本調査
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf

年収が高い男性ほど結婚願望がある傾向に

男性の年収別に「結婚したいと思うかどうか?」をアンケート調査した結果が以下のグラフです。

年収別にみた男性の結婚願望の有無

これらのアンケート結果から、年収が高いほど「結婚願望がある」人が多く、年収が低いほど「結婚願望がない」人が多い傾向にあることがわかりました。

ただし、700〜999万円の男性に関しては結婚願望が「ない」割合が増えていますが、そもそも対象者が5名と少ないことから、傾向としては読みきれないといえます。

結婚願望がない理由は年収によって傾向が異なる

それでは、男性が結婚に前向きになれない理由は何でしょうか? 前の質問で「結婚願望がない」と回答した人にその理由について聞いてみました。

結婚願望がない理由

もっとも多かった理由は「自由な時間が減るから」(23.4%)でした。次いで「家庭に責任を持てない」「経済的に家族を養えない」(同率17%)です。この結果だけ見ると、経済的な理由よりも自由を失うリスクを懸念しているように思えます。

ただし、結婚に前向きになれない理由を年収別で比較してみると、傾向が大きく異なることがわかりました。

結婚願望がない理由(年収別))

年収100〜299万円の男性でもっとも多かった理由は、4人に1人が選択した「経済的に家族を養えない」です。次に多かったのが「自由な時間が減るから」と、「家庭に責任を持てない」(同率20.8%)でした。やはり、経済的な理由で結婚に対して二の足を踏む人が少なくないようです。

年収300〜499万円の男性で多かったのは、「自由な時間が減るから」(26.3%)で1位、2位は「お金を自由に使えなくなるから」と、「結婚が良いと思えない」(同率15.8%)です。年収100〜299万円の男性と違い、自由を失うことを結婚のデメリットと感じている様子が読み取れます。

年収500〜699万円の男性に関しては、「家庭に責任を持てない」「お金を自由に使えなくなるから」の意見が上がり、ともに1位の50%でした。年収500万円以上であれば、一般的には高収入の部類に入ります。ある程度責任のある役割を担い仕事をしている人も少なくないでしょう。だからこそ、もっと自由でいたいという想いから、家庭に責任を持つことに対して負い目を感じる人が多いのかもしれません。

年収700〜999万円の男性についても「自由な時間が減るから」「趣味の時間を持ちたいから」の2つの意見に分かれました。対象者が少ないため偏りがあることは否めませんが、金銭的な理由は一切なく、自分の時間をもちたいことが理由で、結婚に否定的である人が多い傾向がうかがえる結果です。

また、どの年収帯でも「束縛されたくない」「仕事を優先したい」「子どもが欲しくない」という理由を選択した男性はいませんでした。これらは、結婚に前向きになれない一番の理由には、なりにくいようです。

年収別にみる理想の結婚像

次に、 結婚願望のない男性にアンケートした「結婚したい女性の条件」から、年収別の「理想の結婚像」を考えてみました。

年収100〜299万円の男性が求める「結婚したい女性の条件」で1位に挙がったのが「年収が高い女性」で24%でした。この年収だと月々に使用できるお金は最大でも20万円ほどです。不可能ではなくとも、家族を養っていくには自信がないと感じてしまうのも無理はないかも知れません。「私が大黒柱になる!」くらいの意気込みをもつ女性が現れると、結婚に前向きになれるかも知れません。

年収300〜499万円の男性による「結婚したい女性の条件」については、1位の「束縛しない」、2位の「互いに干渉しない」の、2つを合計すると53.3%です。前項で「結婚願望がない理由」として挙げられた「お金を自由に使えなくなるから」も踏まえると、できるだけ干渉されず、自由に使えるお金が確保できる、という2つが満たされると、結婚に前向きになるかもしれません。

年収500〜699万円の男性が「結婚したい女性の条件」は、「互いに干渉しない」「週末婚である」「財布が別」が33.3%で同率1位でした。この年収といえば、男性の平均年収と同等か少し上回ります。家族を養えない収入ではありませんが、男性の収入のみで家計を支えていく場合には、自由に使えるお金が十分にあるとは言えないのかもしれません。また、結婚に前向きになれない理由や女性に求める条件から、自由を追い求める傾向が強いことが読み取れます。この年収の男性は、女性にもある程度収入があり、お財布を別にするか、お金を自由に使える経済力が必要になりそうです。女性にも精神的な自立が必要といえるかもしれません。

年収700〜999万円の男性になると経済的には平均以上で、家庭への責任に対する心配はないかもしれません。マネジメント能力に長けている人が多いと予想されますから、時間とお金は自分で管理し、趣味も充実させたい傾向が強いと言えそうです。結婚後にお財布は別にして収入の管理を各々で行いながら、自由にできる趣味の時間をしっかりと設ける生活が、理想といえるかもしれません。

***

男性の結婚願望と年収の相関性を調べた今回の調査では、年収が低いほど結婚願望が低く、年収が高いほど結婚願望も高い傾向にあることがわかりました。また、結婚に前向きになれない理由は、年収によって違いがあるようです。

結婚するとさまざまな責任が生じますが、その中でも経済的な負担は大きいものです。さらに、自由を失うことや、時間を好きに使えない懸念など、さまざまな要因が結婚という人生の大きな決断を妨げている様子がうかがえました。

【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:20~40代前半の独身男性
アンケート母数:177名
実施日:2021年11月12日~11月15日
調査実施主体:縁結び大学
調査会社:株式会社ネクストレベル

 

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