部下への叱咤で仕事をしてる感をだしていた女上司
再就職したのは29歳のとき。人材紹介などを行う企業で、広告を扱う部署に配属。人との関わりが多い部署だったが、外部の人間関係はうまくいっていたとのこと。社内での付き合いは前回の教訓もあり、程よい一定の距離感を保っていたという。
「一応面接などは受けましたが、知り合いの紹介なので顔合わせのようなもので入社しました。だから、その人の顔を潰さないためにも仕事は必死で頑張りましたし、社内の人間関係にも細心の注意を払いました。もう社内恋愛はこりごりという思いも強かったので」
そこから1年半は順調そのもの。しかし、引き抜きでいきなり上司となった一回り上の女性に振り回されることとなる。
「私だけではなくて、部下全員に対して“できるアピール”がすごくて、みんなの前でその社員の小さなミスでもつるし上げて、自分がフォローしたという功績を発表するような人でした。彼女のターゲットは定期的に変わっていき、私がなるときもありました。ターゲットになるのは本当に運です。彼女が深く関わりたい仕事を任された部下が監視下になるという感じです。
彼女は話したことを覆すことなんて日常茶飯事。だから1日分の作業がムダになることもあって。彼女が入ってきてから、明らかに社内の雰囲気は最悪になりました」
そこから半年、日本はコロナ禍に見舞われる。会社の対応は早く、すぐにリモートワークを導入。リモートワーク導入に際して必要な経費が認められ、一斉にではなく部署ごとに準備が揃い次第自宅で仕事をするという段取りが組まれたという。優花さんの部署はその女上司の独断で独自の交代勤務が組まれ、上司は常に出勤をしていた。
「持ち出してはいけないデータもあるので交代勤務はわかるのですが、あの人(上司)は何のために出勤しているのかまったくわかりませんでした。社内で自宅の部下と連絡を取っていて、『え、あなたも家からの電話でよくないですか?』みたいな。出勤したときには社内の人数が少ないから目をつけられやすい。逆に、本当に目障りでしたね」
完全リモートが導入され、一定の距離感で社内の人と付き合っていた優花さんには思わぬメリットが。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。