父と義母に子どもはできず。それを喜んでいる自分がいた

当時の父親は隣の大阪府で一人暮らしをしていましたが、遥香さんのために兵庫県の同じ学区内に引っ越ししてくれて、二人暮らしが始まります。しかし父親には付き合っている女性がいて、一緒に暮らしてから半年ほどで「結婚を視野に考えているので会ってほしい」と伝えられたと言います。

「父との二人暮らしは本当に平和でした。母親と一緒のときのように気を使うこともなく、話すことがなければ黙っていたし、食卓にはテレビの音しか聞こえない日があっても嫌われていると不安になることもなかった。

それなのに、父親は母親と同じように新しいパートナーを求めたんです。相手は私を引き取る前から付き合っている女性で私を引き取ることにも賛成してくれていたそうですが、今後はどうなるかわからない。父との子どもを欲しがった後でまた私が邪魔になる可能性だってある。“再婚”という言葉が出てからは、母の時と同じような状況にならないか不安で仕方ありませんでした」

初めて会ったときの相手の女性は物腰が柔らかく、積極的に遥香さんに話しかけてくれたそう。今回も結婚に反対する理由がなく、程なくして前とは別の両親との三人暮らしがスタートします。そこから遥香さんが就職するまで三人暮らしは続いたとのこと。

「新しい母親は、子どもを産みませんでした。結婚した当時は義母はギリギリ30代だったので妊娠の可能性はあったと思いますが、詳しくは聞いていません。結果、私が出て行くまで家族3人で仲良く暮らすことができました。でも、もしかしたら子どもができなかった可能性もあるのに、私はそれを喜んでしまっているのです。それってどんなに父と義母のことが好きでも、心の底から信用していないってことなのでしょうか……」

遥香さんは冒頭でも触れた通り、20代で結婚、出産、離婚を経験して、現在は娘との二人暮らしをしています。義母は自分とは血のつながりのない孫に対しても優しく、よく面倒を見てくれているそうで、関係は今もうまくいっているとか。

「実の母親は結婚したときだけ伝えましたが、出産時には義母がずっと寄り添ってくれていたので報告していません。今は完全に縁は切れています。

義母との関係は私の子育てのことでケンカしたり、ついつい自然に頼ってしまうくらいの仲になっています。私は本当の母親との関係が他の人と違うので、義母との関係が普通なのかはわかりません。でも、今も再婚を選べないということは、私は再婚は良しとしていないということ。どんなに仲が良くても、そのうしろめたさはありますね」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

1 2

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
5月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店