プラモデルに革命を起こし、2020年に誕生40周年を迎えた「ガンプラ」から、劇中に登場したガンダリウム合金を素材にしたプレミアムな期間限定モデルが発売された。開発のキーワードは~地球の重力で感じる「ガンダム」の重み~。世界中のガンダム及び、ガンプラファンの夢がようやく現実のものとなった。
スケールプラモデルの世界に革命を起こした「ガンプラ」
休日でも外出する機会がめっきり減った今、自宅で過ごすひとりの時間を趣味に充てる人が増えている。特にサライ世代の男性をトリコにしているのが、少年時代、寝食も忘れて没頭したプラモデル作りだ。中でも「機動戦士ガンダム」シリーズの、モビルスーツと呼ばれるロボットなどを立体化したプラモデル「ガンプラ」は、現在でも根強い人気を誇っている。
「ガンプラ」が登場したのは1980年のこと。販売当初から売れ行きはすさまじく、当時の小学生が販売店に押し寄せる光景がたびたびニュースで報じられる社会現象となり、それまでの王道だったクルマや戦車・戦艦などに代わり、プラモデルの主役に躍り出た。その後も、接着剤不要で組み立てられる「スナップフィット」や、塗装をしなくてもカラフルに仕上がる「多色成型」といった革新的な技術を次々に開発し、新たなプラモデルファン開拓に貢献。アニメ作品と寸分たがわぬリアルな造形や、劇中のアクションを再現できるフレキシブルな関節可動機構も進化し、大人になった当時のプラモ少年たちを現在も喜ばせている。また、自作のガンプラ作品をSNSにアップし、ファン同士がつながりを深めたり、作品製作のモチベーションアップに使う楽しみも活発化している。
40年間のシリーズ販売数は累計7億個を突破
そんなプラモデルシーンの金字塔ともいうべき「ガンプラ」が誕生して今年で40周年を迎えた。現在までに約2500種類を発売し、2020年5月までの累計出荷数はガンプラリアルシリーズで5億2580万個、SDシリーズで1億7440万個と合計7億個を突破。現在では年間販売額の5割を海外が占めるなど、その人気は世界規模に拡大している。
発売元のBANDAI SPIRITS ホビー事業部では、40周年の節目に「GUNPLA LINK PROJECT(ガンプラ リンク プロジェクト)」を展開。プロジェクトの一環として“素材の集大成”となる『ガンダリウム合金モデル 1/144 RX-78-2ガンダム』を発売する。
ガンダリウム合金とは、1979年に放映されたTVアニメーション『機動戦士ガンダム』の劇中で、ガンダムの装甲材質などに使われている、月面で精製されたチタン系合金のことだ。アニメの設定に倣い、開発陣営はチタニウム、アルミニウム、希土類イットリアを混合し、最新の金属成形技術で精製。ガンプラのプラスチック製の内部フレームに、この地球製ガンダリウム合金を装甲としてはめ込み、組み立てることができる。
とはいえ、ガンダリウム合金が完成するまでの道のりは平坦ではなかった。劇中にある月面上での条件に近い製法でガンダリウム合金を再現するため、高純度チタン粉末と酸化イットリウム粉末の配合比を検討し、粉末材料を金型で成形後、拡散焼結で一体化させ部品を生み出す新技術の開発。さらに、金属をガンプラへ落とし込むための製造方法の探求など、「化学」と「匠の技」の融合によるトライアンドエラーを何度も重ねることで、ガンプラの未来へとつながる試金石にもなるガンダリウム合金が完成した。
銀箔が映えるマットブラックを使用したプレミアムなパッケージ
商品パッケージは40周年記念にふさわしいマットブラックに銀箔を加えたプレミアムな仕様。本体のほか、ガンダムの象徴ともいうべきビーム・ライフルとシールドが付属。さらにガンダリウム合金モデル誕生の軌跡を辿る限定の解説書や、バンダイホビーセンターで管理製造されたオリジナル商品であることを証明するギャランティカードも同梱されている。
「本物のガンダムの質感を再現する」という、ロマンと技術にあふれるガンプラの極致を堪能してみてはいかがだろう。
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取材・文/安藤政弘