「うどん県」という印象深いキャッチフレーズでおなじみなのは、「讃岐うどん」が有名な香川県。ところが、これにひけをとらないほど、うどんをよく食べているのは、じつは埼玉県です。
埼玉のうどん生産量は、なんと全国2位。県北部では小麦の生産が非常に盛んで、そのほとんどが「農林61号」や「さとのそら」といった、製麺に適した品種です。
埼玉県内には、地域ごとにさまざまなご当地うどんがありますが、そのなかでも近頃、頭角を現しているのが、鴻巣市の「こうのす川幅うどん」。
川幅とはいったい何かというと、鴻巣市と比企郡吉見町の間を流れる荒川の幅のこと。河口より上流62km地点の幅が2537mあり、日本一の長さなのだそう。
これを観光名物として知ってもらおうという狙いで地元の人々が7年前に考案したのが「川幅うどん」です。
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まず訪れたのは、地元でも評判の高い『馬力屋』。同店では、鴨汁と共につけ麺のスタイルで提供しています。
ザルに盛られた、5cmほどあろうかという幅広の麺は、まるで妖怪の一反木綿のよう。これを、鴨の旨みが溶け出した濃厚なつけ汁に浸していただくと、地粉を使ったコシの強い麺は、しっかり粉の旨みがあり、出汁の濃さにも負けていません。
また、幅広麺のぺらんとした食感も独特。驚きがあって楽しいだけでなく、しみじみとしたおいしさの感じられる味です。
2軒目に訪れたのは、「川幅みそ煮込みうどん」を提供する『久良一』。こちらの麺は、『馬力屋』よりもさらに幅広く、厚さも薄めです。
煮込んでもちょっとやそっとではのびないのが、川幅うどん。つゆの味は、愛知県の名物である味噌煮込みうどんよりは、ややあっさりしています。
アサリが入っているため、貝の旨味たっぷりの出汁が麺にしっかり染み込んでいるのがポイントです。店ごとにメニューに個性があるのも、川幅うどんの面白さです。
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昨年は、「12回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」において、悲願の初優勝も果たした川幅うどん。これはもう、食べに行ってみなければ!
【馬力屋】
住所/埼玉県鴻巣市滝馬室948-2
電話/048-542-9055
営業時間/昼の部11:15~14:30、夜の部17:30~22:00
定休日/木曜日夜の部
【久良一】
住所/埼玉県鴻巣市人形4-1-36
電話/048-542-5542
営業時間/昼の部11:30~15:00、夜の部17:30から21:00
定休日/木曜日
※ちなみに、埼玉県鴻巣市には、ほかにも「川幅スイーツ」や「川幅ギョーザ」など、数々の「川幅グルメ」が誕生しているのです。どんなものかは、下記の「鴻巣市観光協会」のサイトでチェックしてみてください!
■鴻巣市観光協会
http://www.konosu-kanko.jp/gourmet/kawahaba_gourmet.html
文/大沼聡子