調味料は酒→砂糖→醬油の順で。
臭みを飛ばすため落とし蓋はしない
「煮魚は、素材を煮ることで魚特有の臭みを抜き、煮汁を絡からめて旨みを閉じ込める料理です」
こう語るのは、東京・銀座に店を構える魚料理が評判の『割烹 智映』の店主、北山智映さん(38歳)。
北山さんはこう続ける。
「素材は淡泊な白身魚や脂の乗った魚、癖がある青魚など魚種を選ばず、魚の持ち味が際立つ万能な調理法です。調味料の使い方を覚えて、臭みの元となるアクをしっかり取り除けば、美味しい煮魚に仕上がりますよ」
今回は入手しやすい金目鯛の頭を用いた煮付けの美味しい作り方を教わった。
「金目鯛の頭は煮る前に丁寧に水洗いして、汚れや水溶性の臭みを取っておくことが肝心です。また、沸騰してから素材を入れると、たんぱく質がすぐに固まって味が染み込みにくくなるので、火にかける前に金目鯛を鍋に入れること。味醂もたんぱく質を固める作用があるので使いません」
北山さんは砂糖をたっぷり使うが、これは味付けではなく、魚の脂肪分と煮汁を糖分で絡めて、魚の旨みを閉じ込めるためだ。
「調味料は酒、砂糖、醤油の順で加えてください。それと、魚には揮発性の臭みがありますから、落とし蓋は不要です」
素材の旨みを生かすため、味付けは醤油と塩だけで充分だという。
「仕上げに塩をひとつまみ入れます。金目鯛などの深海魚は味がぼんやりしているので、塩で味の輪郭を整えてください」
【材料(2人分)】
【手順】
●割烹 智映(ちえい)
東京都中央区銀座7-7-19 ニューセンタービル地下1階
電話 03-3573-7022
営業時間 18時~21時(最終入店)
無休 14席。要予約。
※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/関屋淳子 撮影/宮地工)。