
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。
多くの企業は、経験や感覚に頼った指示で悩んでおり、正確な意思決定ができないことが課題です。この記事では、監督としてヤクルトを三度の日本一に導いた、野村克也氏が提唱したID野球のデータ分析手法と識学の原則を組み合わせ、事実情報を活用した合理的な采配の実現方法を具体的に解説します。読み進めることで、組織全体の信頼性向上や業績改善に繋がるヒントが得られるでしょう。
ID野球の戦略とは?
野村克也氏が築いたID野球は、従来の直感や経験に頼る戦略とは一線を画し、過去の試合データを徹底的に分析することにより、勝利への確かな道筋を導いた戦法です。具体的には、各選手の成績や対戦相手の傾向、試合の流れを数値化し、これらの情報から最適な布陣や采配を決定しました。
これにより、黄金時代を迎えた彼のチームは、リスクを最小限に抑えながら、戦略的な勝利を積み重ねました。データに基づく判断は、瞬間の感情や経験則ではなく、客観的な事実に裏打ちされたものであり、結果として一貫性のある成果を上げることができたのです。
企業経営においても、これと同様のアプローチは有効であり、業績や市場動向を正確に捉えるための基本となります。
識学の基本原則
識学は、起きている事象を「事実」で捉える理論であり、情報の収集・分析・活用において普遍的な原則を提供します。識学の重要な考え方は、「事実情報」に基づいた論理的な判断です。
企業内で発生する様々な問題は、感覚や経験だけで解決するのは難しく、正確なデータをもとに原因や課題を特定する必要があります。例えば、売上不振の原因を単なる「運」や「市場の流れ」とするのではなく、部下から上がってくる事実情報を基に分析することで、具体的な改善策が浮かび上がります。
識学の原則は、こうしたプロセスを支える理論的基盤として、組織全体の意思決定に大きな影響を与えます。
事実情報の力
現代のビジネス環境は情報が溢れており、その中で本当に価値のある「事実情報」をいかに見極めるかが鍵となります。ID野球が示すように、具体的なデータは未来の予測やリスク管理、戦略立案に不可欠です。
事実情報は、感情的な判断を排除し、客観的な視点から物事を捉えるための羅針盤となります。さらに、正確なデータ分析は、部下や社員に対しても説得力ある指示を出すための根拠となり、組織全体の正しい意思決定に寄与します。
識学の観点からは、情報そのものの正確性と信頼性が重視され、これにより経営陣をはじめとする管理者は迅速かつ的確な意思決定を下すことが可能となります。結果として、無駄なリスクを避け、持続可能な成長戦略を実現できるのです。
組織への応用法
企業がID野球のデータ分析手法と識学の原則を組み合わせるためには、まず情報収集とデータ管理の体制を整えることが不可欠です。
その方法が「週次会議」と呼ばれる定期的な会議です。これは上司と部下の間で1週間に1回行われ、事実情報を基に目標に対する進捗状況を確認します。その際に現場で起きている事実情報を部下から上司へ報告します。
例えば、製品の売上が低迷している場合、「なぜ売上が落ちているのか」「どんな手を打っているのか」「手を打った結果どうなったのか」について部下から報告させます。このとき、出来る限り感情を排して、数字を含めた事実情報を吸い上げます。出来ていないことに対して感情的に注意をすると、事実情報が上がってこなくなる可能性があるので注意が必要です。上司は上がってきた事実情報を基に意思決定を行い、部下にさらなる改善を指示します。必要であれば権限も付与します。単なる「経験則」に頼った指示から脱却し、事実に基づいた意思決定へと導く大きな一歩となります。
采配と実践の秘訣
上司からの采配が単なる経験談や感覚的な指示に終始すると、現場では不安や混乱が生じ、組織全体のパフォーマンスが低下する恐れがあります。一方で、ID野球のような事実情報に基づいた采配は、説得力と具体性を兼ね備え、部下の信頼を得るための有力な手段となります。
上司が事実に裏付けられた判断を行うことで、部下も自らの役割や業務改善に対して主体的に取り組む姿勢が育まれます。さらに、定期的なフィードバックや評価を行い、事実を基にした改善策の効果を実感させることが重要です。これにより、組織内における情報の透明性と信頼性が向上し、全体としてのパフォーマンスアップが期待できるのです。識学の視点を取り入れることで、指示内容の論理的な整合性が保たれ、未来の戦略にも柔軟に対応できる基盤が構築されます。また、部下側も「躊躇なく」事実情報を上げることを求められます。
情報を上げる際のポイントとして、(1)自身の主観や見解はいれない、(2)自身で判断できないことは即座に上げる、ことが必要です。余計なノイズをいれないことで、上司は正しい判断を行うことができます。
まとめ
本記事では、野村克也氏のID野球に学び、事実情報の重要性とその活用法を識学の観点から解説しました。ID野球の戦略は、データ分析に基づいた合理的な判断を可能にし、識学はその根底にある論理と信頼性を支えます。企業においても、正確な情報収集とデータ分析、そしてその結果に基づいた具体的な采配が、組織全体の業績向上に繋がるのです。
この記事を読んだみなさまは、まず自社の情報管理体制を見直し、識学の原則に沿った事実情報の活用法を実践することをおすすめします。確かな事実情報に基づく戦略が、今後の持続可能な成長の鍵となるでしょう。
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