会社の悩み事のひとつに「社員のやる気のなさ」がある。会社経営にあたり、「社員のやる気」は重要だ。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」から、「社員のやる気」の向上についての知見を得よう。
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会社経営者にとっての悩みのひとつに「社員のやる気のなさ」が挙げられます。会社の業績を上げるためには、社員のやる気を向上させることが必要不可欠ですが、それには適切な会社の仕組みづくりが必要です。
本記事では、社員のやる気がない理由や、社員のやる気を引き出すためにできる施策をわかりやすく解説しています。
やる気が出ない会社に勤めている人は60%
ダイアモンドオンラインのアンケート調査によれば、やる気の出ない会社に勤めている会社員は60%と半数以上を占めています。「やりがい」を求める社員がいるのと並行して、やる気が湧かない社員も存在しているのです。
では、「やりがい」とはなんなのでしょうか? ダイアモンドオンラインでは「やりがい」に直結するのは「社内環境」だとしており、「どこか他人行儀」「助け合いの精神がない」といった環境では、社員のやる気は落ちていく一方です。
さらに、経営者が社員のやる気の低下に気づかないといったことは多く、業績の低下、社内トラブルの発生後に初めて従業員のやる気低迷に気づくといったケースは散見されます。
ただし、業績の低迷に気づいて対策を講じようと思っても既に社内にはローパフォーマーだらけ。もう手遅れになっている可能性も高いのです。したがって、「うちは大丈夫」と思っている経営者こそ、自社の社員状況を確認する必要があります。
社員のやる気が出ない理由
社員のやる気のでない理由のひとつに「社内環境」が挙げられることを先ほど説明しましたが、他にどういった理由が社員のやる気に影響するのでしょうか。
主な理由として下記が挙げられます。
給料が低い
社員のやる気に直結する理由のひとつに給与の低さが挙げられます。特に業務が厳しいほど影響は大きく、「あれだけ働いているのに給与が低い」という不満を社員が抱いてしまうと、やる気の低迷に繋がります。
純粋に「給与が低いからやる気が出ない」という理由だけでは対処は難航しますが、以下の理由は対処可能です。
・正しい評価がされていない
・成果を出しても報酬が得られない
上記のような不満が社員から出ているのであれば、単なる給与の問題ではなく、適切な人事評価制度が整っていないことが問題です。人事評価制度の見直しが必要です。
人間関係が悪い
人間関係が悪いと、思うように業務が進まずに次第にネガティブな気持ちになり、結果としてやる気が下がることがあります。
具体的には、以下の際に業務を思うように進めることができません。
・上司に相談しづらい
・仕事をしない人の分まで仕事を割り振られる
・上司のパワハラで精神的に辛い
上記の状況では、どれだけ仕事を頑張ろうと思っていてもやる気はおきません。こうした状況を打開するためには、問題の原因を特定し、会社全体によい雰囲気を与えるような仕組みを作らなければなりません。例えば、パワハラをする社員にはその上席がしっかりと指導をする必要がありますし、やるべき仕事をこなさない社員には 1 on 1 ミーティングを実施する必要があります。
自己成長できない
社員のやる気を向上させるには、自己成長できる環境が必要です。自己成長ができない職場の環境として、下記が挙げられます。
・スキルアップできる環境が整っていない
・自律的に働ける環境ではない
・社内のキャリアアップが明確でない
社員がどれほどスキルアップしようと思っていても、会社の環境が整っていなければ、社員は成長を止めてしまいます。また、自己研鑽をする社員が一定数いても、成長できない職場では転職される可能性が高いです。したがって、会社は努力ができる社員に対し、キャリアアップ可能な環境を提供することが大切です。
具体的には以下のような対処法があります。
・リカレント教育を取り入れる
・研修など、社員が成長できる環境を用意する
・1 on 1で社員が具体的なキャリアビジョンを描けるようにする
・社員がスキルアップできる仕組み作りをする
会社の将来性が見えない
会社の将来性は、社員の長期的なキャリアに影響します。社内環境がどれだけ良い会社でも、会社の将来性が見えないと社員が不安を感じてしまいます。特に、優秀な社員ほど会社の将来性に敏感なことが多いため、社員に対して適切な情報提供をすることが大切です。
具体的には、会社の業績を社内報を利用して従業員に対して開示することや、会社の業績の悪化をしっかりと説明し、改善に努めるなどの対処が必要です。
私生活が原因
私生活の影響が会社に持ち込まれることがあります。例えば、以下の場合は私生活が問題です。
・家庭内でうまくいっていない
・私生活で散財してしまっている
・健康な生活ができていない
ただし、上記の問題には会社も関係している可能性があります。例えば、常に残業時間が長いのであれば、残業時間が私生活に影響しているケースも考えられます。他にも、私生活で散財をしてしまっているのも、健康的な生活ができていないのも残業や会社でのストレスが原因かもしれません。
こうした私生活のストレスをアンケートなどで確認するのは難しいですが、1 on 1ミーティングなどを実施することで、それとなく社員から聞き出すことができます。
やる気が出ない社員は会社に悪影響を及ぼす
やる気がない社員が自社にいることで、他の社員にも悪い影響を与えてしまいます。例えば、以下のような影響を及ぼしてしまうかもしれません。
他の社員のモチベーションが上がらない
やる気のない「ぶら下がり社員」は、周囲に負担をかけてしまう可能性があり、周囲のモチベーションを下げます。
例えば、やる気のないローパフォーマーの仕事が終わらないと、ローパフォーマーのいるチームではその埋め合わせをしなければなりません。こうした状況が続き、給与が同じだとしたら不満を抱いてしまうのも無理ないでしょう。
上記のような不満から「仕事をしない方が楽だ」という意識が会社全体に蔓延します。結果として、やる気のある社員のモチベーションを下げ、社内全体の生産性が下がってしまいます。
不公平感が生じる
やる気のない社員がいることで、給与の不公平感が生じてしまいます。一生懸命仕事をしている前向きな人ほど「同じ仕事内容なのになぜやる気がない社員と同じ給与なのか」という疑問を抱きやすい傾向があります。そして上記の事態が長く続くと、やる気がある社員は不公平感を持ってしまいます。
周囲もやる気がない社員に仕事を頼むよりも、やる気がある社員に仕事を依頼した方が早いため、やる気のある社員に仕事が集まります。初めのうちは快く引き受けるかもしれませんが、そのまま給与が変わらないと、不公平感は大きくなってしまうでしょう。
優秀な人が抜けてしまう
優秀な社員は自身で自己研鑽を積み、よりよい会社へと転職ができますが、やる気のない社員は会社に居続けるしかありません。したがって、優秀な人が自社に見切りをつけ去っていき、残るのはやる気のないローパフォーマーだけ……といった事態も起こり得ます。
やる気のある社員が自社に見切りをつけてしまう要因には以下のケースが挙げられます。
・やる気のない社員に足を引っ張られる
・他社でならやる気のある人と切磋琢磨できるかもしれないと考える
経営者や管理職が最も気をつけなければならないのは、上記の事態です。優秀な社員が抜け、ローパフォーマーのみになっていくと会社は再起不能になります。こうした事態を避けるために、やる気のない社員に対し、会社は対策を講じる必要があるのです。
やる気のない社員をやる気のある社員にするために
やる気のない社員には、会社で社員のやる気を高めるための制度を設ける必要があります。
リカレント教育を推進する
リカレント教育とは、生涯通じて学び続けていくことを示します。仕事を受けながらでもスキルアップを促す機会を与えることが会社に求められています。例えば福利厚生の一環として、リカレント教育を受ける際に一部費用を支給する制度を取り入れている会社もあります。
一見高いコストに見えるかもしれませんが、社員のやる気が高まることで、会社への貢献意欲が高まり、結果として会社の業績に繋がる可能性があります。
1 on 1 ミーティングを実施する
1 on 1 ミーティングとは、上司と部下がその名の通り、1対1で話し合うことをいいます。1 on 1 ミーティングでは、会社の仕事、プライベートまでを一括して上司に話すことができます。
上司が部下の話を否定せずに聞くため、部下は日頃の悩みや会社に対する不安を口にしてくれるかもしれません。1 on 1 ミーティングを通じてやる気のない原因がわかれば、上司もアドバイスを通して部下のやる気を引き出せるかもしれません。従来の方式では半年に1回程度の人事評価の際に行うのが主流でしたが、それでは悩みを引き出すのに不十分なため、現在では毎月1回、あるいは週に1回実施している企業が多いです。
部下が「話してよかった」と思えるミーティングが実施できれば、良好な関係が保たれ、部下のやる気の向上につながる可能性があります。
社員の意見が会社経営に役立てられる仕組み作り
社員の意見が会社経営に役立てられる仕組みを構築することも、社員のやる気を引き出すひとつの施策です。社員が会社に意見を出すことで、会社に所属していることを実感できるようになり、自身の存在意義ややりがいを感じられるでしょう。
メンタルヘルスケアを取り入れる
メンタルヘルスケアとは、会社で生き生きと働けるような仕組みづくりをし、実践することをいいます。仕事をしている人の6割が強いストレスや不満を感じることのある現代では、メンタルケアを欠かすことができません。
メンタルヘルスケアには具体的に以下4つの試みがあります。
・セルフケア:従業員自身が気づく
・ラインによるケア:上司が把握する
・事業場内産業保健スタッフ等によるケア:専門スタッフが把握する
・事業場外資源によるケア:外部機関が把握する
メンタルヘルスケアという言葉の他に、現在では健康経営という言葉も一般的になりましたが、企業が従業員の健康を気遣う必要性は高まっています。
具体的な取り組みとして、会社内で楽しむイベントの開催や、体験型のワークショップなどを社内に取り入れることが挙げられます。
メンタルヘルスケアを行うことで、従業員が自分でも気づかなかったやる気の出ない原因に気づくことができるため、社員のやる気を上げるために有用です。
有給休暇の取得率を向上させる
有給取得率を向上させることで下記のメリットがあります。
・疲労回復から仕事の生産性が上がる
・心の余裕からイノベーティブな発想が生まれやすくなる
有給取得で従業員は適度な休息をとることができるので、従業員のやる気が高まる可能性があります。逆に、有給取得率が低いと待遇の不満といった形でやる気の低下につながってしまうため、少なくとも業界水準の有給休暇を取得させる仕組みづくりが大切です。
やる気がない社員に関して経営者の質問
やる気がない社員に関してよくある質問は以下の通りです。
やる気がない社員は解雇できるんでしょうか?
やる気のなさを理由に解雇することは可能ですが、以下2つの条件が必要です。
・正確な記録を残す
・就業規則と労働契約書に解雇条件を記載する
解雇のためには、問題発生時の記録(いつ、どこで、誰が、指導内容、本人の署名)が必要になります。解雇条件が記載された労働契約書に署名をしたのにも拘らず、何度も同じことを繰り返し反省の色が見えないのであれば、次に警告、その後に解雇予告を出せます。
参考:労働基準法 | e-Goc法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049)
やる気のない社員は放置してもいいでしょうか?
「放置をする」という選択をする会社もあります。ただし、やる気のない社員を放置することで、社内のエンゲージメントが低下する恐れがあるのでおすすめはできません。まずは、1 on 1 ミーティングなどを利用して、社員のやる気のない理由を洗い出すところからはじめ、やる気のある社員に変えるよう働きかけることが大切です。しかし従業員のやる気のなさが自社の問題ではない場合、解雇を検討することもできます。
中堅社員のやる気が出ないのですが…
日本社会の全体構造として、中堅社員のやる気が出ないことが問題になっています。その背景には、フラットな組織へと会社が移行したことで、目指すべきポジションが社内に見つからないといった原因があります。
他にも、新入社員の不足による人材不足のせいで、中堅社員になってまで新人がやるような作業をしなければならないといった事態も発生しており、社員のやる気を削ぐ原因となっています。
中だるみしてしまっている中堅社員は、やる気さえあれば前線で活躍する社員に変わる可能性が高いため、マンネリ化を抑えて新たなポジションを検討する必要があります。
この上で役に立つのが、ジョブローテーションです。ジョブローテーションとは、社員の能力開発のために異なる部への異動や転勤をさせる仕組みのことを指します。ジョブローテーションは一見定点的な対策に見えますが、実施することで「自分が所属していたチーム」を外から見ることができるようになります。外からの視点でチームを見ることで、新しい着想や気づきがあり、会社に貢献してくれる人材になるかもしれません。
社員のやる気について
社員のやる気がでない理由には、個人の悩みや、会社の環境が影響しています。こうした社員のやる気を高めるためには、社員の自助努力だけでなく会社としても支援の試みが必要です。新しい取り組みにはコストがかかるかもしれませんが、それによって自社の売上に貢献できる社員の育成に繋がります。社員のやる気を向上させ、会社の業績アップを目指しましょう。
【この記事を書いた人】
小林カズシ/コンテンツディレクター
金融出身のコンテンツクリエイター。 三井住友銀行退職後、フリーランスとして活動。 現在は、電子書籍の執筆からクリエイティブ作成、ディレクター業務、ライティングまで幅広く行っている。 所持資格は簿記2級など。
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いかがでしたか? やる気の出ない社員の対処法について理解できたでしょうか。社員のやる気を向上させ、会社の業績アップにつなげましょう。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/