肥前・波佐見焼の染付渦花草 同柄2枚組み

左から楕円皿2枚組み、四方小鉢2枚組み
取り鉢や1人分の盛り鉢など、幅広く使える四方小鉢。光春窯ならではの温かみある線に愛着がわく。

日本の磁器揺籃の地・九州有田焼の陰に隠れてきた長崎の波佐見焼は伝統に自由な創造を加えて頭角を現す

有田焼の陰に隠れた波佐見焼

日本の長きにわたる「やきもの」の歴史において、17世紀初頭に陶工・李参平らにより肥前・有田で陶石が発見されたことは大事件だった。これにより初めて日本で磁器が作れるようになった。以来、有田周辺では磁器がさかんに生産され、「有田焼」として全国、そして世界的な名声を得ていった。現在も佐賀県有田町はやきものの町として名高く、美しい磁器と趣ある町並みを求めて多くの観光客が訪れる。

そんな有田の南に、もうひとつの磁器づくりの町・波佐見町(長崎県)がある。ここ波佐見町で産する「波佐見焼」は、長らく有田焼の陰に隠れる存在だったが、20年ほど前から存在感を増し、今では有田焼と並び広く知られるやきものになった。

波佐見焼の中心地・中尾山に在する窯元「光春窯」代表の馬場春穂氏は波佐見出身。京都での修業の後、故郷に戻り昭和60(1985)年に家業を継いだ。以来30年余、この地で磁器のうつわを焼き続けてきた。

「磁器でありながら手の勢いが感じられるものをと思ってやってきました。一般的に磁器は狂いのないように削り出しで形づくりをしますが、私は手引きのつくりっぱなしです」と馬場氏。

そんな光春窯のうつわには、手わざを感じられる線の温かみがある。藍色の絵柄も控えめで、渦花草文様や鳥獣戯画のモチーフは、日々の食卓での使い勝手がよい。

また馬場氏は次世代の職人を育てることの大切さを感じ、志ある若者たちを全国から受け入れている。現在13人いる職人のうち、ほとんどがそんな研修生だ。ここで紹介する2種のうつわも、そんな自由な創造の場から生まれたもの。
「雑器が中心だった波佐見焼は守るべきものが少ないだけに、いろいろ自由にやれるとも言えます」

美しく使い勝手のよい日常のうつわとともに、新たな「手」も生み出し続ける光春窯。波佐見焼の勢いを感じられる窯元だ。

肥前・波佐見焼の染付渦花草 同柄2枚組み

北欧のうつわを思わせるダイナミックな渦花草文様。手描きによる呉須の濃淡や流れが味わい深い。

【今日の逸品】
肥前・波佐見焼の染付渦花草 同柄2枚組み

光春窯
3,456円(消費税8%込み)

 

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