
日本酒が好きな方なら、一度は「もっと詳しくなりたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。そんな方にぜひ知っていただきたいのが「日本酒検定」です。日本酒についての知識を体系的に身につけ、より深く楽しむための第一歩として、この検定はきっと役立つはずです。今回は、日本酒検定の全体像をわかりやすくご紹介します。なお、日本酒検定は20歳以上が対象です。5級・4級はネット受検、3級・2級はCBT試験または会場受検、準1級・1級は会場受検という形で実施されています。
文/山内祐治
日本酒検定を取得する4つのメリット
日本酒検定を取得することには、さまざまな嬉しいメリットがあります。
まず、これまで「なんとなく」だった知識が体系的に整理され、曖昧だったことが確信に変わっていきます。きちんとした根拠のある知識を持てるようになると、日本酒を選ぶときの楽しさがまったく変わってくるものです。飲食店や酒販店にお勤めの方、インバウンド対応のガイドの皆さん、メディア関係の方々であれば、仕事上の説明に根拠を持たせやすくなり、接客・案内・執筆などの場面で役立つでしょう。
また、同じ目標を持つ仲間とのつながりが生まれるのも、趣味資格を志す醍醐味です。唎酒師やSAKE DIPLOMAといった他の資格と同様に、日本酒に興味を持つ人たちのコミュニティが自然と広がっていきます。先生と生徒という縦のつながりだけでなく、受講者同士の横のつながりも生まれ、日本酒をめぐる会話や交流が豊かになっていくでしょう。さらに上級の資格を取得すれば、講師・執筆・監修といった活動に携わる機会が生まれることもあります。
何よりも、勉強を重ねるほど日本酒を選ぶ、飲む、語る楽しみが広がっていくはずです。
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日本酒検定の難易度。5級から1級まで何が違う?
日本酒検定は5級から1級まで(準1級を含めると6段階)で構成されており、原則として1つ下の級に合格した方が次の級へ進める仕組みです。
5級・4級は入門レベルで、日本酒について初めて学ぶ方でも十分に挑戦できる水準です。3級あたりから、日本酒全般についての体系的な理解が求められるようになり、これまで曖昧だった知識をしっかり整理しておかないと手こずる場面も出てきます。2級では製造方法・原料・歴史・法令といった専門的な分野まで踏み込んだ知識が必要となり、本格的な勉強が欠かせません。そして1級は非常に難関で、合格ラインは正答率85%以上です。出題方式は四肢択一選択方式・50問ですが、出題範囲が広く、細かな知識まで問われるため、相当な準備が必要です。
また大きな特徴として、この検定にはテイスティング(唎酒)がありません。唎酒師やSAKE DIPLOMAとは異なり、知識一本勝負で臨める点は、テイスティングに不安を感じる方にとって非常に取り組みやすいポイントといえます。


日本酒検定の合格率。どの級から目指すべきか
合格率は級が上がるにつれて当然ながら厳しくなっていきます。推定でありますが、5級・4級は80〜90%程度とほとんどの方が合格できる水準で、2級・3級になると30〜40%前後まで下がり、ここから本格的な壁を感じる方が増えてきます。1級にいたっては10%台という、まさに狭き門だといわれています。なお合格率は年度・実施回によって変動することがあります。
初めて受験する方は5級・4級・3級からチャレンジすることができます。自分のレベルに合った級からスタートし、着実にステップアップしていくのが王道ですが、どの級から始めるにせよ、しっかりと勉強して臨むことが大切です。
日本酒検定の勉強方法。楽しみながら知識を深めるコツ
勉強の基本は、まず公式テキストをしっかり読んで全体像を把握することです。テキストには図やフローチャートなども掲載されていますが、そこに書かれた内容を自分のノートに書き起こして整理すると、読むだけよりも格段に理解が深まります。
都道府県ごとの特徴については、地図と一緒に覚えるのが効果的です。産地の情報が頭に入っていると、「この地域は寒冷な気候だから、こういう味わいのお酒が生まれる」という形で知識が有機的につながっていきます。点の知識が線になる感覚は、勉強の大きな楽しみの一つです。
そして何より、実際に日本酒を飲みながら勉強できるのが、この検定ならではの魅力です。グラスを傾けながら学ぶ——そんな贅沢な勉強法は、なかなか他の資格試験では味わえません。楽しみながら続けることが、合格への一番の近道でもあります。
日本酒検定の参考書。級別公式テキスト
3級試験はCBT形式(パソコンを使った試験会場受験)で行われます。出題範囲として挙げられているのが、『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』です。4択・50問の形式ですので、まずはこのテキストを丁寧に読み込むことが合格への第一歩となります。

2級は3級と同じくCBT試験または会場受検で実施され、公式テキストは『日本酒の基』です。一方、準1級・1級は会場受検のみで、同じく『日本酒の基』が出題範囲となります。

1級を目指す方は『日本酒の基』を深く掘り下げたうえで、灘や伏見といった主要産地の酒造組合が発行する刊行物も補助教材として取り入れると、より盤石な準備が整います。級ごとに適切な教材を選び、段階的に知識を積み上げていきましょう。
日本酒検定の試験日と申し込みのポイント
5級・4級はネット試験で随時、3級・2級はCBT試験になりますが、こちらも随時受験可能です(会場試験も選択可能)。自分のスケジュールに合わせて柔軟に受験できるのが魅力です。
一方で、準1級・1級は会場試験のみで、年2回の実施となっています。試験会場は全国主要都市(札幌・東京・大阪・福岡)に設けられています。詳しいスケジュールや申し込み方法は、SSIの公式サイト(https://ssi-sake.jp/nihonsyu-kentei/)でご確認ください。
2026年9月6日(日)に札幌・東京・大阪・福岡で会場受検が予定されており、3級・2級については全国47都道府県のテストセンターで随時CBT受検も可能です。
最後に
1級まで取得すると「日本酒名人」の称号と合格証書が授与されます。それを額装して飾るのも、日本酒への愛情を形にする素敵な楽しみ方の一つです。とはいえ資格取得はあくまでも通過点です。その先にある「より深く日本酒を楽しむ」ことこそが、この検定の本来の目的です。ぜひ日本酒の奥深い世界への第一歩を、この検定から踏み出してみてください。

山内祐治(やまうち・ゆうじ)/「湯島天神下 すし初」四代目。講師、テイスター。第1回 日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMAコンクール優勝。同協会機関誌『Sommelier』にて日本酒記事を執筆。ソムリエ、チーズの資格も持ち、大手ワインスクールにて、日本酒の授業を行なっている。また、新潟大学大学院にて日本酒学の修士論文を執筆。研究対象は日本酒ペアリング。一貫ごとに解説が入る講義のような店舗での体験が好評を博しており、味わいの背景から蔵元のストーリーまでを交えた丁寧なペアリングを継続している。多岐にわたる食材に対して重なりあう日本酒を提案し、「寿司店というより日本酒ペアリングの店」と評されることも。
構成/土田貴史











