肉まんは代表的な「点心」(軽食)のひとつ。発酵生地が肉汁の旨みを閉じ込め、ふっくらと仕上がった。熱いうちにいただきたい。

家庭でも専門店で売っているような、出来たて熱々の肉まんを食べたい。そこで指導と調理を願ったのは、辻調理師専門学校で中国料理を教える、中島圭佑さんと杉本亜紗美さんだ。

指導 左・中島圭佑(なかじまけいすけ)さん
(辻調理師専門学校中国料理教員)
調理 右・杉本亜紗美(すぎもとあさみ)さん
(辻調理師専門学校中国料理教員)
中島圭佑さんは、辻調理師専門学校を卒業後、入職。食博覧会中国料理コンクール熱菜畜禽部門文部科学大臣賞受賞。杉本亜紗美さんは、辻調理師専門学校、辻調理技術研究所を卒業後、現職。

今回は基本となる「生地」「餡」、味のポイントとなる「醤(ジャン)」の作り方から、蒸し上がるまで一連の手順を教えてもらった。「醤」は餡の風味とコクを引き立て、用いると一味違う肉まんができあがる。

調理道具は中国料理用でなくとも家庭用で代用できる。材料も入手しやすいものばかりだ。

「熱々の状態で、複雑な風味を堪能してください」(中島さん)

(1)蒸籠(直径約24cm) (2)点心庖丁(家庭用庖丁でもよい) (3)麺棒(約30cm、直径2cmと同3cm) (4)餡ベラ (3)(4)は各1種類あればよい。

材料(4人前、約12個分)

生地の材料

(A)薄力粉……150g
(A)ベーキングパウダー……3g
牛乳……85g
グラニュー糖……20g
インスタントドライイースト……2g
ラード……5g
油……適量

餡の材料

豚肩ロースのみじん切り(※1)……150g
玉葱のみじん切り……50g
塩……1.5g
(B)コショウ……少量
(B)グラニュー糖……1.5g
(B)紹興酒……8g
(B)醬油……3g
(B)水……15g
醬……30g
干し椎茸のみじん切り(※2)…… 10g
生姜のみじん切り……5g
葱油(※3)……8g
胡麻油……3g
油……適量

※1:家庭では豚粗挽き肉で代用してもよい。 ※2:水につけ戻したもの。 ※3:ラード製のもの。

醬の材料

薄力粉……5g
油……10g
(C)塩……1g
(C)グラニュー糖……5g
(C)コショウ……少量
(C)片栗粉……8g
(C)醬油……8g
(C)オイスターソース…… 12g
(C)水……50g

醬の作り方

1.醬の材料の(C)を混ぜておく

2.油を熱し薄力粉を加える

フライパンで分量の油を熱し薄力粉を投入する。

3.粉気がなくなるまで炒める

弱火で粉気がなくなるまでかき混ぜながら炒める。

4.1で混ぜた調味料を加える

あらかじめよく混ぜておいた調味料を加える。

5.とろみがつくまで炒める

混ぜ合わせながら、とろみがついて鍋肌から離れるようになれば、皿に取り冷ます。

醤は冷蔵庫で3~4日は保存可能。餃子、春巻などの餡に入れれば、なめらかさとコクが増す。冷凍すれば長期保存もできる。

生地を作る

グルテンが形成されるまでよく練り、暖かいところで発酵させる。

1.粉をザルでふるう

(A)をザルに押しつけるようにして、ダマを潰しながらふるう。

2.牛乳と他の材料を混ぜる

グラニュー糖、インスタントドライイーストと牛乳を混ぜる。

3.薄力粉に2の牛乳を加える

ふるった薄力粉に2で混ぜ合わせた牛乳を加える。

4.指先を使って混ぜ合わせる

指先で1と2が均等になるように、ざっくりと混ぜ合わせる。

5.よく練り合わせる

手のひらで、押しつけるように練り合わせ、水分をなじませる。

6.ラードを加えて練る

ボウルの中で生地がまとまれば、ラードを加えて練る。

7.手のひらで延ばしながら練る

生地を麺台にこすりつけるようにして、さらに練る。

8.膜状になるのが目安

引っぱって薄い膜状になると、グルテンが形成された証。

9.暖かいところで発酵させる

薄く油を塗ったボウルに入れ約30℃で発酵させる。右は約40分後。

10.指で発酵状態を確認

粉をつけた指先を押し込み、生地が戻ってこなければ発酵完了。

11.生地を手でならす

発酵した生地を手のひらでならして、中の発酵ガスを均一にする。

12.生地を棒状にする

両手で転がしながら、直径3cm、長さ36cm程度の棒状に延ばす。

13.一定の大きさに切りそろえる

幅3cm程度で均等に分割する。これで12個分の生地が取れる。

14.丸める

指先で生地表面を張るようにして団子状に丸める。

15.休ませる

ぬれ布巾(キッチンペーパー可)をかけて5分休ませる。

餡を作る

豚肉と調味料を混ぜ合わせ、粘り気が出てくるまでよく練り合わせる。

1.玉葱を炒める

フライパンに油と玉葱を入れ、弱火で少し色づくまで炒める。

2.粘りが出るまで肉を練る

豚肉のみじん切りを、軽く握るように混ぜる。

3.塩を加えさらに練る

豚肉に塩を加え、粘りが出るまで練る。

4.調味料を加える

調味料(B)を加える。左からコショウ、グラニュー糖、紹興酒、醤油、水。

5.再び粘りが出るまで混ぜる

粘り気が出るまでよく練り混ぜる。

6.炒めた玉葱などを加え混ぜる

炒めた玉葱と干し椎茸、生姜、醤を加えて握るようにして混ぜる。

7.葱油、胡麻油を加え混ぜる

最後に葱油と胡麻油を加え混ぜる。

8.冷蔵庫で冷やす

調味料をすべて混ぜたら、冷蔵庫で30分ほど冷やし餡を締める。

餡を包み、蒸す

いよいよ餡を包んで強火で一気に蒸し上げる。蓋を開ければ立ちのぼる湯気とともに熱々の肉まんが姿を現す。

1.生地を延ばす

中央部分に厚みをもたせるように、麺棒で直径約8cmまで延ばす。

2.餡をのせる

餡15gを餡ベラで取り生地にのせる。

3.餡を包む

親指で餡を押さえながら、生地の端をつまんで持ち上げる。

4.ひだを付ける

生地を順に親指側にたぐり寄せるようにし、ひだを付ける。

5.中心で閉じる

最後に中心をねじって閉じて、餡を密封する。

●蒸籠で蒸す

中華鍋か大きめの鍋に湯を沸騰させ上に蒸籠を置く。肉まんの底には薄板(オーブンペーパー可)をあて並べ、蓋をして強火で8分程度蒸せば完成。

●フライパンで蒸し焼きに

フライパンに少量の油を敷き、肉まんの底に少量の片栗粉をつけて並べる。肉まんが3分の1程度浸かるくらいまで熱湯を加え、蓋をして沸騰状態で7~8分蒸し焼きに。
肉まんが充分に膨らみ水分がほとんどなくなれば、アサツキと煎り胡麻をちらし、少量の油を入れて底に焼き色がつけば取り出す。

取材・文/宇野正樹 撮影/小林禎弘 取材協力/辻調理師専門学校

 

ランキング

サライ最新号
2025年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

市毛良枝『百歳の景色見たいと母は言い』

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店