日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。

解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

昭和26年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。久留米大学医学部教授などを経て、平成15年、糖尿病などの生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を開業。

牧田式ミラクルフード:ブルーベリー

ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類される低木になる果実です。

以前はジャムとして口にすることが圧倒的でしたが、今は生の状態の実がスーパーで手に入ります。

濃い青紫の色からも想像できるように、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれており、すべての果物や野菜の中でも、最も強い抗酸化作用を持つと言われています。

そもそも、がんや心筋梗塞、脳卒中をはじめとする怖い生活習慣病の大きな原因は、活性酸素がDNAを傷つけることにあります。

活性酸素は、日々の生活の中にある紫外線、喫煙、ストレス、運動、加工食品の摂取などによって生じ、私たちの体を疲れさせ、どんどん老化させます。

そこで、ブルーベリーの抗酸化作用で活性酸素を抑制すれば、全体的に体調を整える効果や、疲労回復効果が期待できるわけです。

それを実証する研究もあちこちで行われ、報告が届いています。

たとえば、『Carcinogenesis』という学術誌に掲載された研究では、被験者がブルーベリージュース1リットルを2週間飲んだところ、活性酸素によるDNAのダメージが20%軽減したそうです。

また、イギリスのイースト・アングリア大学が6か月にわたって行った研究で、ブルーベリーを毎日150グラム食べると、心臓血管病のリスクが最大15%軽減できるということがわかりました。

この研究チームは、心臓病や脳卒中、糖尿病のリスクを大きく高めるメタボリックシンドロームを持つ対象者が、血管の機能や動脈壁の硬化が持続的に改善した、と報告しているのです。

加えて、脳の記憶に関する分野でも、ブルーベリーの効能に注目が集まっています。イギリスのペニンシュラ医科歯科大学は、ファイトケミカルが豊富なブルーベリーなどが、老化に関連した短期的、長期的な記憶の障害を食い止めるのに効果的としています。

「American Chemical Society」という学術団体が行った研究も、示唆に富んでいます。

この研究では、初期の記憶力の低下が見られる70代のボランティアを2つのグループに分け、一方に市販のブルーベリージュースを400〜500ミリリットル、毎日飲んでもらいました。すると、飲んだグループは飲まなかったグループと比較して、学習と記憶力テストに大きな改善が見られたそうです。

腸内環境や膀胱にもいい影響

もともとブルーベリーは、とくに眼精疲労に効果があることが知られていました。

そのきっかけは、毎日好物のブルーベリージャムをたくさん食べていたイギリス軍のパイロットが、薄明かりの状況でも物がはっきり見えたと話したことにあったと言われています。

その後、各国で研究が進み、そのメカニズムがわかってきました。

私たちが物を見るとき、目に入ってきた映像を網膜に映し出します。この網膜にはロドプシンというタンパク質があり、それが分解されることで発せられた電気信号が脳に伝わり「見えている」と感じます。

分解されたロドプシンは、再合成され、また分解されるというように再利用されています。ただ、疲れや加齢によってロドプシンの再合成能力が低下すると、目がしょぼついたりぼやけたりと、見え方に不都合が生じます。

このロドプシンの再合成を、ブルーベリーのアントシアニンが助けるのです。

また、ブルーベリーに含まれるビタミンAには、目の粘膜を保護し、網膜自体を丈夫にする働きがあると言われます。こうしたことから、眼精疲労にブルーベリーが効くことは、ほぼ間違いないでしょう。

なお、ブルーベリーは、腸内環境にもいい影響を及ぼします。

小さな果実を皮ごと食すことや、一粒の中に微少な種がたくさん入っていることから、食物繊維がたくさん摂れます。しかも、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。

さらに、ポリフェノールの一種であるタンニンの作用により、荒れていた腸の粘膜が保護され、腸内で発生する有害物質の生成を抑えることもわかっています。

意外なところとしては、アルブチンという成分によって尿路殺菌作用も期待できます。アルブチンは細菌が膀胱内に付着するのを防ぎ、感染症を予防すると考えられます。

ブルーベリーには、ビタミンやミネラルも豊富で、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンK1、亜鉛、マンガンなどが含まれています。

ビタミンCは熱に弱いのですが、生で食べられるブルーベリーなら効率よく摂取できるでしょう。

亜鉛は、細胞の生まれ変わり(代謝)を促進したり、生きるために不可欠な酵素の原料になったりします。

マンガンは、活性酸素の除去や、骨を丈夫にする働きをします。

これら、大切なビタミンやミネラルを損なわないためにも、ブルーベリーは生の果実をそのまま食べるのがいいでしょう。

記憶に関しての研究では市販のジュースでも良い結果が得られていますが、できるだけ加工されていない状態で食べることをすすめます。

***

世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』

現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

『疲れない体をつくる最高の食事術』
牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)

 

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