はじめに-清少納言とはどんな人物だったのか?

清少納言は、平安時代中期の歌人です。随筆集『枕草子』の作者としても知られ、三十六歌仙にも選ばれるなど、突出した才能を高く評価されています。一条天皇の中宮となった、藤原道隆(みちたか)の娘・定子(ていし)に仕えました。

道隆が亡くなり、中関白家(道隆の家系)が衰退した後も、生涯を通して定子に付き従うこととなりました。同じく文学の才能に恵まれた歌人・紫式部のライバルとして、競い合っていたというイメージがありますが、実際の清少納言はどのような人物だったのでしょうか? 史実をベースにしながら、紐解いていきましょう。

2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』では、定子に忠誠を誓った、才気煥発な歌人(演:ファーストサマーウイカ)として描かれます。

『清少納言』
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-775?locale=ja

目次
はじめに―清少納言とはどんな人物だったのか?
清少納言が生きた時代
清少納言の足跡と主な出来事
まとめ

清少納言が生きた時代

清少納言は、生没年不詳です。一説では、康保3年(966)頃に生まれ、万寿2年(1025)頃に没したと言われています。清少納言が生まれた頃、藤原氏が貴族社会の頂点に君臨していました。やがて、天皇の外祖父となった藤原兼家(かねいえ)が政界を牛耳るようになり、嫡男・道隆がその跡を継ぎます。

父と同じく、娘を天皇の中宮(ちゅうぐう、皇后とほぼ同格の后)につけた道隆。清少納言は、中宮となった道隆の娘・定子に仕え、素晴らしい才能を開花させることとなったのです。

清少納言の足跡と主な出来事

清少納言は、康保3年(966)頃に生まれ、万寿2年(1025)頃に没しました。(諸説あり)その生涯を、出来事とともに紐解いていきましょう。

歌人・清原元輔の子として生まれる

清少納言は、康保3年(966)頃、歌人・清原元輔(きよはらの・もとすけ)の子として生まれます。清原元輔と言えば、三十六歌仙(優れた才能を高く評価された、代表的歌人36人の総称)の一人であり、小倉百人一首にも彼の詠んだ歌が選ばれています。

素晴らしい歌人として名高い、元輔の元に生まれた清少納言。清原氏には、和歌や漢学に精通した者も多かったため、清少納言自身も歌人としての人生を歩むこととなったのです。

定子に出仕する

教養ある人々に囲まれ、恵まれた環境で育った清少納言。その頃、藤原兼家の跡継ぎとして関白となった道隆が、政界の頂点に君臨していました。道隆は、娘・定子を一条天皇の中宮につけ、権勢を振るいます。定子の女房(宮中や貴族の邸宅に仕えた女性)には、粒ぞろいの才媛が選ばれました。そして、その中には清少納言も含まれていたのです。

定子の女房に任命された、清少納言。定子に忠誠を誓い、生涯を通して彼女に仕えることとなりました。また、献身的で教養のある清少納言のことを、定子も大層気に入っていたとか。二人の関係性と、清少納言の教養の高さが垣間見える逸話が、『枕草子』の中に記されています。

雪が降る寒い日に、女房同士で談笑していると、定子が突然「香炉峰の雪はどんなものだろうか」と、清少納言に尋ねたそうです。これは、古代中国の詩人・白居易(はくきょい)の漢詩にある、「香炉峰の雪は簾をかかげて看る」という一句を使った謎かけです。

そのことにすぐ気づいた清少納言は、御簾を高く上げ、定子を喜ばせたとされています。才色兼備だったと伝えられている定子。清少納言の教養の高さを認めていたからこそ、あえて彼女にこのような質問を投げかけたのではないでしょうか?

清少納言が御簾を巻き上げているところ
『清少納言図』
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-952?locale=ja

『枕草子』を執筆し、話題になる。次ページに続きます

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