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気力のなさを改善できる！疲れに効く「補中益気湯」【漢方薬剤師が教える漢方のキホン】79

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2023/7/12

ドラッグストアで陳列されていて、よく目にする漢方薬。「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの？」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第79回のテーマは、「補中益気湯（ほちゅうえっきとう）」です。あんしん漢方（オンラインAI漢方）の薬剤師、碇純子さんに教えてもらいました。

補中益気湯（ほちゅうえっきとう）とは？

1．効能・効果

補中益気湯は「補気（ほき）・健脾（けんぴ）」作用のある漢方薬で、「気」の不足による様々な不調の改善に働きかけます。

「補気・健脾」の「気」は心身を動かすエネルギー、「脾」は消化器を指します。「補気・健脾」とは、弱った胃腸の働きをよくして、心身のエネルギーを補うことです。

具体的には、補中益気湯は、倦怠感や食欲不振、胃下垂、脱肛、子宮下垂、陰萎などの治療に使われています。

また、かぜや夏やせなどの一時的なエネルギー不足のときに用いられることもあります。

2．基本の飲み方

補中益気湯は基本的に、食前（食事の約30分前）か食間（食後から約２時間後）に水またはぬるま湯で飲みます。空腹時に飲むほうが吸収がよく、効き目がよく出るとされています。

ただし、十分な効果を得るためには、決められた量を正しく服用することが大切です。

もし飲み忘れてしまった場合は、食事の時間に関係なく、気がついた時点ですぐに１回分を服用しましょう。次の服用までは、１日３回の場合は４時間以上、１日２回の場合は６時間以上あけます。体に悪影響を与える可能性があるので、１回に２回分を飲むのはやめましょう。

補中益気湯はどんな人におすすめ？

補中益気湯は、胃腸が弱く、疲れを感じやすい人に向いています。痔や多汗症の治療にも用いられますが、血圧が高めで、動悸がする人にはあまり向いていません。

そのほかに補中益気湯はどんな人に向いているのか、具体例を３つご紹介します。

1．疲れやすく、かぜを引きやすい人

心身のエネルギーが足りなくなると、疲れやすく、体調を崩しやすくなります。

補中益気湯は、エネルギーを補い心と体を元気にすることで、疲労を回復しやすく、免疫力が高い体質を目指します。また、体調を崩した後の回復を早めたいときにもおすすめです。

2．胃腸が弱く、食欲がわかない人

胃もたれしやすくなったり食欲がなくなったりするのは、胃腸が弱っているサインです。

補中益気湯は、胃腸の働きを高めることで、胃もたれの改善や食欲の増加に働きかけます。

3．ストレスを感じやすい人

ストレスは自律神経のバランスを崩し、だるさや不眠、多汗、肩こりなど様々な不調を引き起こしやすくします。また、具体的な症状がなくても、何となく体調が悪いと感じるときは、自律神経が乱れているのかもしれません。

補中益気湯は、心と体のバランスを整えることで、自律神経の乱れが原因の不調の改善に働きかけます。

補中益気湯に副作用はある？　安心して服用するには

漢方薬は、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれていますが、絶対に副作用が起こらないわけではありません。たとえば、補中益気湯の副作用として、発疹、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などの症状が出ることがあります。

まれに、間質性肺炎や偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害などの重篤な副作用が起こることもあります。発熱や呼吸困難、尿量の減少、手足のしびれやだるさなどの異変を感じたときは、早めに医療機関を受診しましょう。

また、漢方薬を選ぶ際にもっとも重要なポイントは、ご自身の体質との相性です。体質に合っていない場合、効果が感じられないどころか、先ほどご紹介したような副作用が起きることもあります。必ず、漢方医学を学んだ医師や薬剤師など、専門家のアドバイスを聞きましょう。

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