コロナ禍によってマスクの着用や、除菌・消毒、3密の回避、そしてテレワークの普及に外出自粛など、日常生活のあらゆる場面に大きな変化を強いられました。医療が甚大な影響を受けている現在、新型コロナウイルスへの感染予防対策はもちろんのこと、さまざまな病気に対する予防意識も高まっています。
この記事では、身体全体の健康にも影響すると言われている、“予防歯科”に対する意識の変化について、詳しく見ていきたいと思います。
今回、医療法人社団徳昌会 パラシオン歯科医院(https://parasion-dental.com/)は、歯科定期健診を受診した経験のある男女を対象に、「コロナ禍による予防歯科意識の変化」に関する調査を実施しました。
■生活の変化は、通院頻度の減少にまで及ぶ
まずは、コロナ禍における食生活の変化について伺いました。「コロナ禍以降、食生活にどのような変化が生じましたか?(複数回答可)」と質問しました。
「外食する機会が減った」59.5%、という回答が最も多く、次いで「甘いものを食べることが増えた」23.8%、「自炊するようになった」23.7%、と続きました。
緊急事態宣言の発出や営業自粛要請、外出自粛要請などの影響により、外食の機会が減った方が多いようです。
また、甘いものを食べる機会が増えた、という方も少なくないことが分かりました。
では、“予防歯科”に対する意識は、どのように変化しているのでしょうか。「コロナ禍以降、“予防歯科”に対する意識は変わりましたか?」と質問しました。
「非常に高まった」「やや高まった」という回答は3割程度に留まり、予防歯科に対する意識の変化は、病気予防のそれよりも小さいことが分かりました。
意識が「高まった」と回答した方に、詳しく理由をうかがいました。
・口内環境が感染症リスクに関わると知ったから(20代/女性)
・コロナに対抗するため、より健康であることを意識し、その一環が歯科健診であったから(30代/男性)
・今後も思った時にいつでも受診できるとは限らない事態が訪れるかもしれないと感じた(40代/女性)
・家にいる時間が長く、甘いものを食べることも多くなったため(50代/女性)
食生活の変化や、身体全体の健康維持の一環として、意識が高まった方が多いようです。
次に、不要不急の外出を自粛する中で、歯科医院への通院頻度はどのように変化しているのでしょうか。
「コロナ禍以降、歯科医院への通院頻度が変わりましたか?」と質問しました。
「変わらない」61.9%、という回答が最も多かった一方で、3割以上の方が「非常に低下した」12.1%、「やや低下した」20.6%、と回答しました。
感染リスクを避けたいからか、歯科医院への通院頻度が低下している実態が見えてきました。
歯科医院への通院頻度が低下すると、自宅でのセルフケアがこれまで以上に重要です。予防歯科対策はどのように行っているのでしょうか。
次の質問では「コロナ禍以降、“予防歯科”への対策として行っていることを教えてください(複数回答可)」とお聞きしました。
結果は、「特に対策は行っていない」34.4%、という回答が最も多く、次いで「フロスや歯間ブラシの使用」29.9%、「1回あたりの歯磨き時間を増加した」26.7%、「歯磨き回数を増加した」21.0%、と続きました。
意外にも、「特に対策をしていない」という方が多いようです。
口内環境が全身の健康にも影響すると言われている中、何も対策をしないのは楽観的かもしれません。
■口内環境の変化
歯科検診の頻度が少なくなった後、ご自身の口内環境についてはどのように感じているのでしょうか。
「コロナ禍以降、ご自身の口内環境が変わったと思いますか?」と尋ねました。7割以上の方が「変わっていないと思う」73.4%、と回答した一方で、2割近くの方が「非常に悪化したと思う」3.1%、「やや悪化したと思う」14.7%と回答。
「好転した」と回答した方は1割未満ですから、全般に口内環境が悪化したと感じている方が目立った印象です。
口内環境が悪化したと感じるのはどんな理由からか、詳しくお聞きしました。
・口臭が気になるようになった。間食が増えたがその度に歯磨きはしないので虫歯かなと思うことがあった(20代/女性)
・この間定期検診に行った時に、歯茎の状態が少し悪くなっていると言われたから(30代/女性)
・定期的に受診していた歯医者が、コロナの影響で行けなくなり、違う歯科医院を見つけるのに時間がかかり、悪化(50代/女性)
これらの回答が寄せられました。
間食が増えたことや、歯科定期健診を受診しにくくなったことなどから、口内環境の悪化を痛感している方が多く、ご自身の口内環境を心配している方はそれ以上に多いこともわかりました。
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良好な口内環境を維持するには“予防歯科”を徹底することが重要です。これには歯科医師によるプロフェッショナルケアが大きく貢献すると言えるでしょう。セルフケアでは限界がある場合も多く、歯石の除去などは歯科医院でしか受けられません。通院を続けることでケアを怠らず、虫歯予防を心がけたいところです。
また、歯科診療は口腔内の診療という性質上、感染リスクも気になります。歯科医院には万全な感染対策が求められます。口内環境の悪化は、全身の健康にも悪影響を及ぼしますから、コロナ禍でも健やかな暮らしを送れるよう、予防歯科をはじめ、さまざまな疾患に対する予防の意識が大切です。
調査概要:「コロナ禍による予防歯科意識の変化」に関する調査
【調査期間】2021年1月25日(月)~2021年1月26日(火)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,152人
【調査対象】歯科定期健診を受診した経験のある男女