取材/ニイミユカ 撮影/福尾美雪
美味しいものに目がない編集者のツレヅレハナコさんは、もてなし上手としても評判です。その自宅で開かれる“ホムパ”(=ホームパーティー)は、食いしん坊たちの間でも話題にのぼるほど。クリスマスや年末年始など、集う機会もこれからますます増えます。その魅力と楽しみ方を伺いました。
「美味しい」「楽しい」喜びを共有する時間
“ホムパ”といえば、掃除が行き届いた部屋で、ホストは一度もテーブルにつくことなくもてなし続ける、といったイメージがありませんか? それ故にハードルも高い。ツレヅレさんは「それは自分に完璧を求めすぎているからではないでしょうか」といいます。
「私は、食べることは、まず自分が楽しむことが大事だと思っています。ホムパにハードルを感じるのは、人は知らず知らずのうちに見栄を張ってしまうから(笑)。ピカピカの部屋でなくても、揃ったお皿やグラスでなくても良いのがホムパだと思うんです。
ホムパの目的は、私の場合『誰かと誰かの家でごはんを食べること』。そして、「美味しい」「楽しい」を共有する時間です。
自分で作るから、自分好みの食材やお酒が選べる。外食よりコスパが良い。自宅だからリラックスできる。ちょっと角度を変えれば、ホムパは魅力に溢れています。まずは気楽に、誰かを誘ってみましょう」
気が合いそうな人たちを引き合わせてみる
ホムパでホストを務める際に、ゲスト選びも悩ましいところ。例えば会社の仲間や同級生など、同じジャンルの人たちで固めると、誰を呼ぶか迷ったり、人数が気になったり。ツレヅレさんのおすすめは「性別・年齢を問わず、気が合いそうな人たちを引き合わせること」だそうです。
「自宅でリラックスできるからか、初対面でも距離が近づきやすいような感覚があります。そこに好きなものが共通していれば、なおのこと親しくなりやすい。私はホムパで、人の輪がずいぶん拡がりました」
ただし、ホストもゲストもリラックスし過ぎにはご注意を。
「お酒も入るので、心が解放されてセクハラやモラハラが過ぎる言動をしてしまうと、空気は台なしです。節度をもって楽しむことが、きっと次のホムパに繋がります」
気楽に誘える「鍋料理」ホムパ
誘う口実として、例えば「鍋を取り寄せるからうちに来ない?」は良いきっかけになると、ツレヅレさん。
「人数にもよりますが、基本的には、前菜2〜3品、揚げ物1〜2品、メイン1〜2品、シメ1品が充実したホムパの目安。だけど、初めからこれは大変ですよね。
おすすめは鍋料理です。お取り寄せの鍋料理には、スープと主菜はもちろん、カット野菜がセットになったものもあります。具材を鍋に入れて加熱するだけだから、気も楽ですよね。
また、食べていくうちに食材が足りなくなったら自宅にある野菜などを足せばいいし、取り分けてから自分好みに調味できるのも鍋料理の嬉しいところ。テーブルに出すだけで華やぎますし、一品で、シメまで担ってくれますよ」
手間いらずで華やかなレシピ
最後に、気軽に作れるレシピを一品、教えていただきました。
刺身と薬味のコチュジャン和え
[材料(4人分)]
刺身(ぶり、イカ)・・・各100g
卵黄・・・1個分
みょうが・・・2個
万能ねぎ・・・3本
きゅうり・・・1/2本
トマト・・・1/2個
カシューナッツ・・・10粒
貝割れ大根・・・1パック
コチュジャンだれ
・コチュジャン、しょうゆ、酢・・・各大さじ1
・ごま油・・・大さじ1/2
・にんにく(すりおろし)・・・1/2かけ
いりごま・・・適量
[作り方]
1 みょうが、万能ねぎは小口切り。きゅうり、トマトは5mm角の角切りにする。カシューナッツは粗く刻み、貝割れ大根は根元を切る。コチュジャンだれの材料を混ぜる。
2 大皿に各材料を並べ、イカの上に卵黄をのせ、ぶりにいりごまをふる。コチュジャンだれを添えて食卓に出し、たれをかけて全体を混ぜていただく。
「この料理のいいところは、少量の刺身でも宴会感が出るところ。ゲストの前で、豪快に混ぜてどうぞ。刺身を鯛やまぐろに替えたり、たれを『しょうゆ、レモン汁、おろししょうが、オリーブオイル』にアレンジしても美味しいですよ」
切って盛り付けるだけで、こんなにも華やか。料理の得意不得意に関わらず、今夜にも作って食べたくなります。
理想や思い込みを捨て、ホストである自分もゲストも楽しむことを一番に。この冬は、誰かと集ってみませんか。
『ツレヅレハナコのホムパにおいでよ!』
ツレヅレハナコさんが、月に多い時は2〜3度開いているという「ホムパ」=ホームパーティー。その楽しみ方を、一冊にまとめました。もっと気楽に、肩の力を抜いて良いんだと思える、その内容。リラックスできる心構えを始め、おすすめグッズや食材、手土産などを具体的に指南。さらに、場が盛り上がること間違いなしの宴会レシピは、和洋中エスニックと、多彩なジャンルで87メニューも紹介。「そもそもホムパのやり方がわからない」という初心者はもちろん、ホムパをもっと楽しみたい人にも役に立つ情報が、等身大の言葉で綴られています。
ツレヅレハナコ
発行/小学館
定価/1200円(税別)
詳しい情報はこちら
ツレヅレハナコ Hanako Turedure
編集者。好きが高じて、食にまつわることをブログやSNSで発信中。その“美味しいもの愛”に、食通や食のプロからも信頼をおかれています。著書に『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)、『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)ほか。漫画原案に『みつめさんは今日も完食』(小学館)。Instagram@turehana1