妻から「男じゃない」と言われたことが離婚のきっかけに
妻は付き合っていた頃から自分のしたいことを明確に伝えてきてくれて、そんな部分に哲平さんは惹かれていった。しかし、結婚してからは我慢を強いられる毎日だったという。
「新居の場所、家具などはすべて妻が決めました。物や場所などを好き勝手に決められるだけでなく、結婚してしばらく経つと、家同士の付き合いまで妻は勝手に決めるようになりました。妻の一存で、私の家族との付き合いを拒否して、関係を断ち切ったんです。それが私と両親が決別するきっかけになったから結果論としてはよかったのですが、妻は私の親の否定から私の否定にエスカレートしていき、新居も苦痛を伴う空間になっていきました」
妻は暴力こそ振るわないが、自分の思うように哲平さんが動かないと永遠と暴言を吐くようになった。哲平さんはずっと我慢をしていたというが、どうしても我慢できないことがあったという。それは夫婦生活の強要、そして男としての尊厳を踏みにじられことだった。
「もう妻は恐怖の対象になっていました。そんな相手に、性的欲求なんて湧きません。それなのに、子どもが欲しかった妻は私の同意なく、夫婦生活を求めてきました。そして、できないとわかると男性としての尊厳まで傷つけられるほどに暴言を吐かれました。『もう男じゃないじゃん』と言われたことがあまりにショックで、妻が寝た後に家を出ました」
そこから弁護士に相談して証人になってもらい、哲平さん夫婦は協議離婚をした。
「話し合いで妻に勝てるわけはないので、離婚で一方的な条件を飲まされないよう、最初から弁護士にお願いしました。弁護士が間に入ってくれたことで揉めることなく離婚は成立しました。
結婚してから実家とは距離を置いていたこともあり、離婚したことの報告もしませんでした。これでどこからも干渉されることなく、やっと自由になれたと思いました」
自由の喜びを感じたのは一瞬。決められたものしかこなせないようになっていた。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
