保険には契約転換制度というものがありますが、一般的にはあまり知られていない制度なのではないでしょうか? 契約転換制度を利用するかどうか、自分で判断するためにはその仕組みを理解しておく必要があります。今回は契約転換制度について詳しくみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
契約転換制度の仕組み
契約転換制度を検討するタイミングとは
契約転換制度のメリット
契約転換制度を利用する以外の見直し方法とは
まとめ
契約転換制度の仕組み
契約転換制度とは、どのような制度なのでしょうか? その仕組みについて詳しくみていきましょう。
契約転換制度とは?
契約転換制度とは、加入している生命保険を活用して、同じ保険会社で新たな生命保険に加入しなおす制度です。本来、新しい保険に加入する際には、契約時の年齢による保険料が適用されるため、これまでと同様またはさらに充実した保障内容の保険に加入しなおすと保険料は高くなります。しかし、加入している保険のそれまでに積立てた積立金を、新たに契約する保険の保険料の一部に充当することで、保険料を抑えることができます。
保険の契約転換制度は、加入している保険の価値を「下取り」して新しい保険に加入するのです。新車を購入するときに、所有している車を下取りに出し、その分新車価格から差し引いてもらうといったイメージが分かりやすいかもしれません。
積立金とは?
貯蓄性のある保険では、支払う保険料の一部が積立金として積立てられている場合があります。この積立金は、通常将来の保険金支払いの原資となるほか、解約したときの解約返戻金にもなるため、自分の資産の一部として考えることができます。下取りとして、新しい契約の保険料に充てられる積立金の金額のことを、「転換価格」などと呼ぶことがありますね。
契約転換制度を検討するタイミングとは
契約転換制度の活用を自ら検討する人は、実際には少ないのではないでしょうか。一般的には、保険会社の担当者から、新たな保険商品が発売されるタイミングや、ライフステージが変化するタイミングで保障の見直しを理由に提案されることがほとんどです。
新たに保険に加入する際には、これまでの保険の保障内容よりも何が充実しているのか、新たな保険料はいくらになるのか、ということが重視されるため、契約転換制度がどのような制度なのか十分に理解しないまま制度を利用しているケースもあるでしょう。
契約転換制度は、同一の保険会社でしか適用できませんが、契約転換制度の仕組みを理解しておくことで、自分で保険を見直すタイミングで契約転換制度を利用するかどうか検討することができます。そのため、他の保険会社の保険商品と比較して、より自分に合った保障内容の保険商品が見つかった場合、仮に保険料が高くなっても積立金を解約返戻金として受け取るということも、選択肢の一つと考えることができます。
また、新たに加入する保険の保障内容が今まで加入している保険よりも充実しているとしても、必ずしも新たな保障が必要であるとは限りません。契約転換制度は使わずに、今の保障内容のままに継続するという選択肢もあります。幅広い選択肢を持つためにも、契約転換制度の仕組みを理解しておくことは重要なのです。
契約転換制度のメリット
続いて、契約転換制度のメリットについてみていきましょう。
契約転換制度のメリットとは?
契約転換制度のメリットは、現在加入している保険を下取りすることで、新しい保険の保険料を抑えながら充実した保障を得ることができるということです。
保険の保障内容は、ずっと変わらないものもあれば、医療保障のように治療方法の拡充と共に変化するケースもあります。例えば、30年以上前のがん保険には、診断給付金と入院保障がメインのタイプがほとんどでした。しかし、近年では放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン療法などの治療に沿った給付金の支払いがある特約を兼ね備えたタイプのものが増えてきています。
このように、時代に則した保障内容に変更したい場合に、新たに保険に入り直すと年齢によって保険料が高額となってしまうため、保険料の負担を抑えることができる契約転換制度はメリットといえるでしょう。ただし、新たな保険に加入することで、現在加入している保険よりも予定利率の低い保険に加入することになる可能性もあります。その場合には、保険料が割高になるケースも考えられるため注意が必要です。
また、保険料の負担を抑えられるといえども、実質的にはこれまで貯めてきた積立金、つまり自分の資産を使うことになることを忘れてはいけません。
契約転換制度を利用する以外の見直し方法とは
契約転換制度以外にも、保険の見直し方法はいくつかあります。ここでは、主に3つの方法についてみていきましょう。
1.既存の保険に特約を追加する
保険を解約せずに、現在の保険に特約を追加することで、保障内容を強化する方法です。例えば、医療保険にがん特約を追加して、がん診断時の給付金を受け取れるようにするなど、必要な保障だけを追加することで、柔軟にカバーできる範囲を広げることができます。
2.新しい保険を追加で契約する
既存の保険をそのままにして、新しい保険に追加で加入することで必要な保障を追加する方法です。例えば、現在の終身保険に加えて、定期保険を追加で契約することで、一定期間のみ保障額を増やすことができます。
3.他社への乗り換え
他の保険会社の保険に切り替えることで、より良い保障や保険料の条件で加入することができる場合もあります。他社のプランと比較して、現在の契約条件や保障内容を比較検討することで、最適な選択をすることができます。
まとめ
契約転換制度は、保険料を抑えながら新たな保険に加入することができるため、保障を充実させるにはいい制度といえるでしょう。しかしながら、実質的には貯めてきた自分の積立金を使うことになるということや、新たな保障が自分にとって本当に必要なものなのかどうかということも、同時に考えなければならないことを忘れてはいけません。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB)