妻のやんちゃな青春の日々と告白
学生が行くような居酒屋に行き、奥様は最初から熱燗をオーダー。女性は飲めないらしくウーロン茶を、男性2人はビールを飲んで、乾杯。
話を聞くと、4人は奥様の故郷である埼玉県の高校の同級生。かなりきつい訛りがあり、「品がいい標準語を話す」という奥様のイメージはガラガラと崩れました。
奥様は高校時代、近郊の学校の生徒たちが恐れるくらいの“スケバン”で、チャコと呼ばれていた女性とコンビで“龍虎”と呼ばれていたことなどがわかりました。
「アタシ、東京に出てから、めちゃくちゃバカにされてさ、これからはココ(頭)がよくないと、バンは張れないと思ってさ。ガキどもをめっちゃ教育したよ」
「アンタのパンチは効くからね」
などを皮切りに、かなりの物騒な会話が繰り広げられていました。男性二人は狛犬のようにちんまりと座り、ちびちびビールを飲んでいる。この男性と奥様がパート先で偶然出会い、チャコさんほか、当時の仲間と再会の機会をおぜん立てしているようでした。
奥様は、かなりお酒が強いようで、5合ほど飲んでも少しも乱れません。
2時間ほどの会話で、かつて奥様は警察のお世話になったこと、それで改心して東京に出てきたこと、実家は絶縁状態であること。弟の学費を払い名門大学を出したことなどがわかりました。
「私の旦那っていうのが、ホントにできた人でさ、ホレてるんだよ」などとしみじみと話している姿に私たちもほろりと来てしまいました。
依頼者・達夫さんが「妻は絶対に浮気をしない」と言い切った理由がここからもわかったのです。
23時過ぎに、男性が5000円ほどの会計をして、4人は店の外に出ました。奥様は「みんな、こっち行くよ」と近くのゲームセンターに移動。
奥様はクレーンゲームがとても上手で、「チャコの孫にとってやる」と言い、2つのぬいぐるみをゲット。すると「アタシの孫はもう高校生だよ」と言い、4人でバカ笑い。あまりにも楽しそうな笑い声に、私たちもつられて笑いそうでした。
そこまではよかったのですが、歩く時は奥様を中心に、歩道いっぱいに広がって歩き、「オラオラ」という声が聞こえそうな感じで、歩行者を威圧しながら前進。
バーに移動し、更に飲んで、深夜もやっている大型ショッピング施設に移動。店員さんと圧強めのコミュニケーションをしたりして、4人は本当に楽しそうでした。
すでに深夜2時になっており、チャコさんと奥様は2人でビジネスホテルに行き、始発待ちをするとのこと。男性2人は「そろそろ失礼させていただきます」と帰宅。
朝、5時くらいに2人で出てきて、奥様はチャコさんに「少ないけど、何かの足しにして」とお金の包みを渡していました。チャコさんは「ありがとう」と泣いている。「また会おうな!」と手を上げて、タクシーに乗って奥様は帰宅。
その翌日、依頼者・達夫さんに報告すると、食い入るように動画を再生し、「妻は、こんな一面があったんですか」と絶句。やがて口を開き、「いや~、カッコいいですね。ホレなおしました」と涙を流していました。特に「ホレてるんだよ」の部分は、何度も巻き戻して再生していました。
「よくわかりました。これは確かに私には言いにくいですね(笑)。でも何をしているかわかって、スッキリしました。本当にありがとうございます。新たな女性と知り合ったような気がして、ドキドキしますね」
依頼者・達夫さんは、調査をしたことを奥様には言わず、より敬意とともに奥様と接するようになり、夫婦関係がさらに良好になったそうです。
※本連載はプライバシーに配慮し、一部内容を変えております。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/