忙しく日々を過ごすなかで、いつの間にか夫婦の間に亀裂が生じ修復困難な状況になってしまっている場合、「離婚」を考え出すことでしょう。しかし、3万8000件以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導いてきた離婚カウンセラーの岡野あつこさんは、「離婚の8割はがんばれば修復できるケースだ」と言います。
そこで、岡野さんの著書『夫婦がベストパートナー変わる77の魔法』から、崩れてしまった夫婦関係を修復し、よりよい関係を築いていけるようにするコツをご紹介します。
文/岡野あつこ
自分自身が変わることで夫婦関係に変化が生まれる
おそらくこれまで多くの人たちが「パートナーシップを育てていく」という思いをもたずに、結婚して以来、馴れ合いの関係を続けてきたのだと思います。
そういう人は知らずしらずのうちに、崖っぷちを歩いているようなもの。何かのきっかけでバランスを崩してしまったり、下手をすれば転落してしまうこともあります。
では、もう一度よい関係を取り戻すには、どうすればよいでしょうか?
そのためのアドバイスを本書では行っていきますが、その前提となるもっとも大切な姿勢はたった一つ。それは自分が変わること。それも中途半端ではなく、ガラリと変わるのです。
以前よりも会話が少なくなってきていると感じたなら、あなたのほうから明るいト ーンで「おはよう」「おかえりなさい」と声をかけてみましょう。しっかり向き合っ て話をすることが少なくなっていると感じたら、話をする時間をとることを提案してみましょう。
やさしい言葉をかけることが少なくなっていたら、どんな小さなことでも「いつも、ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、相手を思いやる言葉を投げかけてみるのも大切なことです。
結婚して何年も経って会話も少なくなり、感謝の言葉を伝えたり、相手をほめたりすることもなくなったなかで、急にやさしい態度をとることに気恥ずかしさや抵抗感をもつ人も多いかもしれません。
でも、違和感があるのは最初のうちだけ。相手もあなたの言動が豹変したことに驚いたり、戸惑ったりするかもしれませんが、やがてそれにも慣れて、やさしい言葉や会話を返してくれるようになります。あなたが思う以上に、相手はあなたの変化を受け入れてくれるもの。それどころか、 あなたの変化にうれしさを感じるほうが大きいでしょう。
つきあい始めの時期や、新婚の頃は会話もはずみ、やりとりもスムーズに交わしていたのが、数年も経つと会話も以前に比べて少なくなり、挨拶や気遣いの言葉を交わすことも少なくなっていきます。「以前はこんなことはなかったのに」と内心イライラを募らせていたり、「自分は軽んじられている」「もう自分のことを愛していないのだ」などとよからぬ妄想を膨らませて鬱々としていたりする人も少なくないでしょう。
一方がイライラしていると、相手もそれに誘発されて、イライラした気持ちをもつようになってしまいます。やがて会話もとげとげしくなり、だんだんと心も離れていってしまう。そのまま放っておけば、夫婦の危機はじわじわと進行していきます。だからこそ事態を打開すべく、自分のほうからガラリと変わる勇気が必要です。悪いほうに変わるのではなく、よいほうに変わるのですから、遠慮することは何もありません。
あなた自身がすぐに、劇的に、ガラリと変わる。それができると、パートナーシップも劇的に改善していきます。
どんなにいい方法があっても、このことができないとうまく進みません。そのカギはあなたが握っているのです。
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『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(岡野あつこ 著)
サンマーク出版
岡野あつこ(おかの・あつこ)
立命館大学産業社会学部卒業後、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験をもとに、91年に離婚相談室を設立。以来、「 離婚しないに越したことはない!」をモットーに 、3万8000件 以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導く。夫婦問題研究家(R) 、パートナーシップアドバイザー 。カウンセラ ー育成にも力を注ぎ、「マリッジカウンセラー、夫婦問題カウンセラー養成講座」を開講。NPO法人日本家族問題相談連盟理事長。YouTube岡野あつこチャンネル更新中。