写真はイメージです

子どもの能力を伸ばすために最も大切な時期は、小学校に入学するまでの乳幼児期と言われています。この時期に、興味のあるものや関心事に集中できる環境をつくってあげることが大切だそうです。
そこで、絵本の読み聞かせを通じて、子どもの脳と心を育てる方法を述べ4万人以上の親や教育関係者に指導してきた仲宗根敦子さんの著書『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方選び方』から、絵本の読み聞かせで子どもの能力を伸ばす方法をご紹介します。

文/仲宗根敦子

絵本が子どものIQを上げる理由

ほとんどのママたちは、子どもに絵本を楽しんでもらいたいと願っていると思いますが、「子どもが絵本に集中しません」「子どもが絵本に興味を示しません」という声をよく耳にします。ところが、読み方のポイントを変えるだけで「絵本に集中するようになった」「親子で絵本を楽しめるようになった」「親がびっくりするような表現をするようになった」「言葉で自分の気持ちをしっかりと伝えてくれる」という嬉しい声をいただいています。

絵本に親しむことで、親子のコミュニケーションがとれるだけでなく、自然に子どものIQが上がるのです。それなら毎日、絵本を読ませたくなり、もっと日常に絵本を取り入れていきたくなりますよね。

IQとは知能検査の結果を数値で表したものです。平均を「100」という数字にして、その数字より高いか否か、を確認します。幼少期にIQ121以上になると、知覚、随意運動、思考、推理、記憶など、脳の高次機能を司る大脳新皮質が厚くなり、高いIQが継続して育まれていく可能性が高くなります。

では、IQが高いとはどのような人でしょうか?

IQが高い人は「抽象的な思考」ができる人とも言えます。抽象的の反対は具体的です。

まずスポーツの例で説明してみますね。例えばサッカーや野球、バレーボール、卓球、バスケットボール、このように、具体的なものには一つひとつ固有の名前がついています。

これに対し、抽象度が上がるということは、具体的なものをグループ化して共通点を見つけ出すということです。サッカー、野球などの球技の共通点は球を使うことなので「球技」のグループにまとめられます。このようなグループはほかに、「陸上(競技)」(=足や手を使う)、「水泳」(=水の中を泳ぐ)があります。グループの共通点を見つけ、さらにまとめる(=抽象度が高くなる)と、「運動/スポーツ」となります。このようにあるものの共通点を見出し、グループ化する(=まとめあげる)能力を抽象能力と言います。一般的にこの能力が高いと「頭がいい」と言われます。

それでは、次に抽象思考について見てみましょう。

抽象思考とは、物事を高い視点から見ることができる思考のことです。サッカーを例にします。自分の視点だと、ちゃんと走れるか、ボールを思ったところに蹴ることができるか、などの思考となります。一つ高い視点ですと、相手をドリブルで抜く時、相手の動きを見極め逆方向に動くなど、相手を中心とした思考をします。さらにもう一つ高い視点から物事を見ると、フィールド全体を上空から見るような目を持ち、どこにパスを出したら効果的なのかを俯瞰して、チーム全体でゴールを決める思考をします。

次に算数に当てはめて考えてみます。例えば、
A.かけ算を速く解くこと。
B.方程式を解くこと。
A・B において、抽象度の高さを比べた場合、どちらの方が抽象度は高いと言えるでしょうか?
答えは、Bです。

限られた範囲を何度も何度も繰り返す勉強で、基礎学力を定着させるには、Aの力を養う勉強法が役に立つのですが、この勉強法に留まっていては、抽象度は上がらないのです。

視点を高く持つことは、幼少期でも絵本から学べます。子どもは、みんな最初は「自分が中心」で、自己中心的な考え方しかできません。絵本から言葉を理解するようになり、そして様々なストーリーから他者の存在を認知し、他者の気持ちや背景を思考することができるようになるのです。いつまでも「自分さえ良ければ」と自己中心的な思考しかできないと、学校などの社会生活においても人と良いコミュニケーションをとることができません。

子どもはみんな個性や才能を持っています。それを生かすためには、全体の中の個を俯瞰して見られる抽象的な思考(高い視点)が大切になります。

「脳を育てる絵本の読み方」まとめ

・幼少期にIQ121になると、高いIQが継続して育まれていく。
・読み聞かせの刺激が大脳新皮質を厚くし、IQを高くする。
・絵本を読み「視点を高く」することでIQが高い人特有の、抽象思考が身につく。

* * *

『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方選び方』(仲宗根敦子 著)
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仲宗根敦子(なかそね・あつこ)
親と子のしあわせな未来をつくる、絵本の読み聞かせ方を指導する一般財団法人「絵本未来 創造機構」代表理事。 大手航空会社に勤務中、長男が2歳、次男が0歳のときに、警察官だった夫が殉職。その後フルタイム勤務のシングルマザーとして、子どもたちに接することができる短い時間の中で育児に悩み、息子たちに絵本の読み聞かせを始めたところ、子どもの変化と自身の精神安定のために、いかに絵本が良いかを実感。その内容を体系化し、1人で講座をスタートさせ 2017年に協会設立。絵本講座以外に文章講座、夢を叶える講座などを主催し、小・中・高校・大学や公立図書館、企業等での講演を行い、団体設立からわずか4年で、約4万人が講座を体験。また、日本全国はもちろん、海外では台湾・シンガポール・イギリス等で、同財団の認定講師、約800人が、絵本読み聞かせのプロフェッショナルとして活躍している。

 

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