取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った陽子さん(仮名・38歳)は32歳のときに結婚相談所で知り合った男性と結婚、現在は旦那さまと子どもとの三人暮らしています。結婚時のある出来事から旦那さまと話し合い、陽子さんは結婚の条件を旦那さまと結びます。しかし、その条件はたった6年で時効だと訴えられていると言います。
「一度結婚は破談になりかけました。私も夫と結婚するのは無理だと思っていたのです。それでも、と言ってくれたのは夫。その条件が『義両親と一切交流しないでいい』ということだったんですが……」
姉への劣等感は中学生のときから。比べられたくないから近づかない
陽子さんは千葉県出身で、両親と4歳上の姉がいる4人家族。口数は少ないけれども優しい父親に、しっかり者の母親と姉の中で、浮かないように努力していたと幼少期を振り返ります。
「姉が優秀だったんです。直接比べられることはなかったけれど、姉がこの年齢でできたんだからと私にも同じ年齢でできることを親からは求められました。自転車、鉄棒や勉強もある程度は姉に合わせることができたけれど、部活では決定的な差を見せつけられました。姉と同じバレー部に所属したんですが、姉はレギュラーなのに、私はレギュラーになれなかったんです。全国区では全然強くない部活だったのですが、当時の私にはレベルが高かった。高校では部活動をしなかったんですが、親はそのことには一切触れてきませんでした。きっと私に期待するのをやめたんだと思います」
就職、結婚、出産と人生のイベントを難なく進んでいく姉に対して、劣等感はますます強くなっていったとか。
「実家に行きにくくなったのは姉の出産がきっかけです。姉は人生のイベントのほとんどを20代でやりきり、優しい旦那さんにかわいい子ども、そして実家の近所で暮らすなど親思いなところも完璧。それに義両親の悪口も聞いたことがありません。私は就職を機に家を出たんですが、そんな姉と自分との差を感じたくなくて、色んな理由をつけて帰省を拒むようになりました」
【結婚前に妊娠が発覚するも……。次ページに続きます】