人生の振り返りの時期に差し掛かると、「自分の人生とは?」「これから何をすべきか」という漠然とした問いに出会います。長い後半生を充実させるためにも、ここで一度、自分の人生を見つめ直してみませんか。
今回は、これまで20年以上も人生の最終段階の医療に携わり、数多くの人を看取ったホスピス医師・小澤竹俊先生の著書『2800人を看取った医師が教える人生の意味が見つかるノート』(アスコム刊)から、人生の意味を見つめ直すための「3つの質問」をご紹介しましょう。
「人生の意味を探すことで、人は強く優しくなれる」と綴る小澤先生。多くの生と死を見つめる中で気づいた学びの言葉をお届けします。
【Q1】あなたは「自分の人生には意味がある」と思っていますか?
「自分の人生には意味がある」と考えられますか? その答えは人によって様々でしょう。何かを成し遂げたことがない、社会の役に立っていない、と思っている人も多いかもしれません。
でも小澤先生はこう考えます。
「人はただ存在しているだけで、誰かの役に立ち必ず誰かの支えになっている、これは私が人生や仕事を通して強く実感したことです」(本書より)
人生最後の時が近づくにつれて、多くの方が穏やかに幸せに日々を過ごすようになるそうです。時間をかけて丁寧に自分の人生を振り返り、人生の意味を考えるうちに『自分の人生にも幸せなこと』や『誇れること・大切だと思えることは確かにあった』、『自分なりに頑張って生きてきた』と思えるようになるのだそうです。
「命は役に立つから価値があるのではなく、存在するだけですでに価値を持っているということを私は患者さんたちから教えていただきました」(本書より)
【Q2】今、「やり残している」と感じていることはありますか?
親として、子として、社会人として、人はなんらかの責任を負って生きています。そして人は誰も、やるべきことができていない自分を責めてしまいがちです。
自分にはやらなければならないことがあるのにやり残している、と思い苦しんでいる人は、それが本当にやらなければならないことか、考えてみましょう。
「やらなければと思うほど人は自分に対して厳しくなる傾向があります。やり残したこと、どうしてもできないこと、自分の手に余ることを他の人や自然、運命に委ねる。
自分がやらなければという思いに苦しんでいる人は、もしかしたら抱えているもののうち、何をどう誰に委ねたらいいか、そのヒントが見つかるかもしれません」(本書より)
【Q3】どこで誰に見守られ、どんな思いでこの世を去りたいですか?
あなたは迷ったときに、何を基準にして決断を下しますか?
直感で決める人もいれば、10年後の自分を想像して決断する人もいるでしょう。小澤先生はこう語ります。
「自分がどう生きたいかがわからなくなったときには、どのように最後を迎えたいかを考えてみましょう。自分にとって本当に必要なものが浮かび上がってきます」(本書より)
どう生きるかにフォーカスを当てると、人はどうしてもいろいろなことを考え過ぎてしまいます。お金や高い地位、名誉、世間体などを必要以上に気にしたり。
「さまざまなしがらみに縛られることで本来、決断にあたって重視すべきことを見落としてしまう恐れがあります。人生を振り返ったとき、自分がどのような感想を抱きたいか、それによって今の行動が変わってくるはずです」(本書より)
以上、人生の意味を見つめ直すための3つの質問を、ホスピス医師・小澤竹俊先生の著書よりご紹介しました。
「苦しみから学び、強さや幸せを手に入れることは死に直面した人たちだけにしかできないことではありません」と小澤先生は語ります。
これまでの人生を振り返り、肯定することで新たな気づきを得た時に、誰でもが本当の強さや幸せを手にすることができるのかもしれません。
【参考書籍】
『2800人を看取った医師が教える人生の意味が見つかるノート』
(小澤竹俊著、アスコム)
http://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-0933-1.html
文/庄司真紀