<朝ながめ夕ながめして我庭の菊の花咲く待てば久しも>(正岡子規)
秋も深まってきました。秋を感じさせる花は? と問えば、菊と答える方が多いでしょう。
笠間焼で知られる茨城県の笠間市は、じつは菊も有名で、その菊まつりは日本最古の菊の祭典として100年以上の歴史があるそうです。日露戦争によって荒廃した人々の心を和ませようと、1908年(明治41)に笠間稲荷神社の境内に菊花を展示したのが始まりといわれます。
今では、笠間市内の小・中学生をはじめ多くの市民が参加しての一大行事となり、約1万鉢の菊の花が同神社の境内や市内全体で咲き誇ります。期間中は、NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」をテーマにした菊人形展(有料)も開催されます。
笠間市は東京から車で約1時間、電車だと上野から常磐線、水戸線を乗り継いで約80分。
益子も近くにあるので、焼き物が好きな人は笠間とハシゴしたついでに、菊を愛でに立ち寄るといいかもしれません。
“花より団子”という方には、笠間のいなり寿司があります。稲荷神社にちなんだいなり寿司は、古くから参詣客に親しまれ、特にご飯の代わりにそばを使ったいなり寿司が有名です。常陸秋そばなど、そばは茨城県の名産。健康的で、ちょっと小腹が空いた時にもよさそう。
ほかに、笠間産の舞茸や胡桃を加えたものもあります。
菊花、焼き物、いなり寿司――。この秋、笠間を訪れたら、正岡子規に負けない一句が詠めるかもしれません。