お市の方は大河ドラマ主演経験者

藤吉郎に話し相手をさせるお市の方(演・宮崎あおい)。(C)NHK

I:今週からお市の方が登場しました。演じるのは宮崎あおいさん。2008年の大河ドラマ『篤姫』で主役を演じた名優です。

A:『豊臣兄弟!』には、2022年の『鎌倉殿の13人』で北条義時を演じた小栗旬さんが織田信長役で登場しています。そして、1996年の『秀吉』で秀吉を演じた竹中直人さんが松永弾正久秀役で登場することがすでに発表されています。

I:大河ドラマで主演を演じた俳優が助演で3名も出演するとは、なんとも豪華な布陣ですね。

A:『篤姫』から18年が経過していますが、宮崎あおいさんの大河ドラマ出演はそれ以来。キリっとした篤姫の所作、佇まいが懐かしく思い出されます。もしかしたら、今後も過去の大河ドラマで主役を演じた俳優の登場があるのかもしれません。ちょっと楽しみですね。

小栗旬さん演じる信長。(C)NHK

3人の「戦国ロードムービー」が始まる

I:信長が岩倉城(愛知県岩倉市)を拠点にする織田伊勢守を攻めて尾張を統一せんと合戦に及びます。天文21年(1552)に父信秀が急死して、19歳で織田弾正忠家の家督を継承してから、尾張統一の戦いを始動するのですよね。

A:このあたり、説明すると、当時の尾張国主である斯波氏は、越前国主も兼ねていて、尾張は織田氏が守護代として統治しました。尾張八郡の上四郡を織田伊勢守家が、下四郡を織田大和守家が支配していました。信長の弾正忠家は、大和守家の三つある奉行家のひとつに過ぎませんでした。今週、信長が岩倉城を攻める場面が展開されましたが、これは信長の尾張統一の最終段階で、この流れの中で、駿河と遠江を本拠にする今川義元とぶつかることになるわけです。

I:お市の方が劇中で説明していましたが、今川の手のものが野盗を仕込んでちょっかいを出してきていて、直の祝言の日に襲ってきた野盗らもそうした流れなんでしょうね。

A:この頃、全国各地で戦いの日々が続いていました。奥州では伊達政宗の祖父にあたる伊達晴宗が跋扈し、関東では今川、武田、北条が互いに婚姻を結んで三国間で軍事同盟が結ばれていました。武田信玄と上杉謙信は5度にわたって川中島で戦っていました。中国地方では、毛利元就が厳島合戦で陶晴賢(すえはるかた)を破り、大内氏との決戦を控えていました。九州で龍造寺隆信が島津、大友と肩を並べるほどの勢力を獲得したのもこの頃です。

I:全国各地で戦いが続いていたのですね。

A:そして、武田と北条との軍事同盟によって、尾張に出張ることが可能になった今川が織田領にちょっかいを出すようになった時期、というのが『豊臣兄弟!』の現在地になります。

I:藤吉郎と小一郎、そして直が、中村から清須へと向かいます。まるで「戦国ロードムービー」を見ているかのようなさわやかな「出陣」でした。

A:2023年の『どうする家康』では、まるで紫禁城とみまがう清須城(清州城)が登場して、大河ドラマファンの度肝を抜かれました。藤吉郎、小一郎、直の目を通じて私たちはどんな清須城をみることになるのでしょうか。

I:お城、登場しますかね?

ともに新しい一歩を踏み出そうとする豊臣兄弟。(C)NHK

※宮崎の「崎」は正しくは「たつさき」。

●編集者A:書籍編集者。かつて編集した『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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