それでは、正解を発表します!

【クイズ1】
伊勢神宮へのお蔭参りでは、多くの人が十分な準備もなく出発し、道中の人々の施行を受けて参宮を果たしました。彼らの多くは施しを受けるために、ある日用品を持って出かけましたが、それは何でしょう?

(い)印籠
(ろ)桶
(は)盥(たらい)
(に)柄杓(ひしゃく)

正解(に)
お蔭参りは、ほぼ60年ごとに起こった。天保元年(1830)には閏3月と4月の2ヶ月間に360万人もの人が押し寄せたという。柄杓は伊勢に置いて帰るのが通例だった。

【クイズ2】
十返舎一九著『東海道中膝栗毛』にも登場する、伊勢土産として有名な腹痛・胃腸病などに効く丸薬はどれでしょう?

(い)実母散
(ろ)陀羅尼助
(は)読書丸
(に)万金丹

正解(に)
現在まで約600年の歴史をもつ、万金丹(萬金丹)が伊勢土産として全国に名を知られるようになったのは、江戸時代。村や町ごとに伊勢講が組織され、年1回代参を送り出す風習が定着してからである。代参人たちがお礼の土産物に選んだのが、ありがたい信仰が背景にあり、荷物にならず、しかも実利のある薬、万金丹だった。

【クイズ3】
江戸後期には、伊勢参宮がさかんに行なわれるようになりました。では、東国の庶民の伊勢参宮についての記述として、正しいのはどれでしょう?

(い)伊勢参宮のあとに、京で寺社参詣をしてはいけなかった
(ろ)御師と呼ばれる神職らが、伊勢暦や御札を配って参宮をすすめた
(は)寒さを避けるため、夏から秋にかけてが参宮の最盛期だった
(に)宮川を渡ると神域に入り、駕籠(かご)料金も割高となった

正解(ろ)
伊勢参宮の全国的な広がりに大きな役割を果たしたのが、伊勢神宮所属の御師。彼らは、御札や伊勢暦を配布して各地に講中を組織し、参宮のための宿舎の手配も行なった。

【クイズ4】
江戸時代には伊勢参りをめぐる奇談がいくつかあり、それらをまとめて出版した本もありました。さて、会津藩士小川渉著『志ぐれ草紙』をはじめ、江戸時代の随筆などにもよくみられる伊勢参りに関する奇談とは、次のどれでしょう?

(い)鳩が御札を運んできた
(ろ)御札と一緒にオタマジャクシが降ってきた
(は)伊勢参りの帰りに小判をくわえた蛇に出会った
(に)犬が1匹ではるばる遠方から伊勢参りをした

正解(に)
参宮をする犬に関する奇談は『浮き世の有様』『視聴草』などの諸資料に紹介されており、さして珍しいことではない。この犬が絵にも描かれることがある。

武蔵国入間郡赤尾村の「御用留」にも、参宮した犬が遺失物として届け出られている事例が載っており、事実であったとみてよい。ただし、もちろん犬が自発的に参宮するわけではなく、沿道の人々が犬を引っ張って伊勢まで連れていくのである。

いかがでしたか? 4問目の正解率は49%! 正解率が60%以上の他3問に比べると、少し難しかったかもしれません。

※問題の出典:『第4回 江戸検問題公式解説集』

取材・文/オノハルコ(晴レノ日スタヂオ)

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