取材・文/池田充枝
“マンガの神様”と称される手塚治虫(1928-89)。マンガ家でありアニメーターであった手塚治虫は、その作品に「人間とは何か」「生命とは何か」などのメッセージを込めています。「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」「ジャングル大帝」など手塚が描いた様々な物語や魅力あふれるキャラクターたちは、没後30年を経てなお世界中で愛され、何かを語り続けています。
没後30年のいま、改めて手塚作品の魅力にスポットをあてる展覧会が開かれています。(8月25日まで)
本展は「手塚治虫生誕90周年記念事業」の一環として開催されるもので、手塚が生涯に手がけたおよそ15万枚に及ぶ原稿から厳選した約300枚と、映像・資料さらには愛用の品などを合わせて展示します。
本展の見どころを茨城県近代美術館の学芸員、井野功一さんにうかがいました。
「手塚治虫に関する展示、イベントはこれまで全国各地で多数開催されてきましたが、『手塚治虫生誕90周年記念事業』(2017年11月4日~2019年11月2日)の一環として開催される本展覧会は、関東では初上陸となります。2011年以降開催されている『手塚プロダクション企画制作/東映株式会社制作協力』の手塚治虫展としても、関東では初開催となります。
手塚治虫の作品は世界各国で、多くの世代から愛されています。没後30年を経た現在も作品は出版され、映像化あるいはグッズ化などが続き、その人気は衰えることを知りません。むしろ新元号となり、新たな時代を迎える日本において、様々な未来を見つめた手塚作品は、ますますその価値を高めているように思います。
本展では、特別展示として、幕末を舞台に常陸府中藩(現在の茨城県石岡市)に関わる二人の青年を主人公とした作品『陽だまりの樹』を、周辺史料などとともに紹介します。
主人公のひとり伊武谷万二郎は府中武士、もうひとりの手塚良庵は府中藩医の息子という設定ですが、実は手塚治虫の先祖がモデルとなっています。史実にフィクションを交えて創作されたこの作品には、ほかにも歴史上の人物が数多く登場しており、それらに関する史料と合わせて。直筆原稿などを展示します。作品と茨城の関連にもご注目ください」
日本マンガ史上に輝く“マンガの神様”の作品が一堂に会します。ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
生誕90周年記念 手塚治虫展
2019年6月15日(土)~2019年8月25日(日)
会場:茨城県近代美術館
住所:茨城県水戸市千波町東久保666-1
電話番号:029・243・5111
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/
開館時間:9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
取材・文/池田充枝