秋の味覚のひとつ「ぶどう」を食する際、皮を残す人が多いが、皮ごと食べたほうが健康によいのをご存じだろうか。
ポリフェノールの一種で、長寿や若さを保つ効果が期待される“レスベラトロール”という物質がある。じつはぶどうの皮には、このレスベラトロールが豊富に含まれているのだ。
入手しやすく、値段も手頃なぶどうで、比較的皮ごと食べやすい品種のひとつに、甲斐路(かいじ)がある。甲斐路は皮が軟らかく、甘味も強い。どうしても皮が口に残ってしまう人は、ぶどうを1粒ずつに分けて冷凍し、半解凍してから食すと皮ごとでも食べやすくなる。
なお、冷凍用にぶどうを軸から取る場合は、小さな軸を残すように鋏(はさみ)などで切る(下の写真参照)。こうすれば、ぶどうのみずみずしさを保ちやすい。
なお、皮ごと食べる場合のぶどうの適量は1日100g、大粒のぶどうなら7~8粒とされる。人によっては、食べ過ぎると腹痛を起こすこともあるので注意を。
疲労回復にも最適なレーズン
生のぶどうを皮ごと食べられない人は、レーズン(干しぶどう)でレスベラトロールを摂る方法もある。通常、レーズンは皮ごと天日干しされているからだ。
生のぶどうは約80%が水分だが、レーズンは約70%が果糖やブドウ糖である。これらの糖は体内に吸収されやすいエネルギー源なので、マラソンや登山など体力を要するスポーツやレジャーの際に食すると、疲労回復にも効果的だ。
またブドウ糖は、脳のエネルギー源となる唯一の成分でもある。人間の脳は、体重の約2%の重量だが、エネルギーの約20%を消費する大食漢でもあるため、脳の疲労回復にも即効性が期待できる。
さらに、カリウムやカルシウム、鉄分などのミネラル、ビタミンB群などがバランスよく含まれ、食物繊維も豊富で、不足しがちな栄養素なども補える。
ただし、レーズンはエネルギー量が高く、生のぶどうの約5倍、10粒で約20キロカロリーになる。肥満が気になる人は食べ過ぎに気をつけたい。
文/諸井里見
※本記事は「まいにちサライ」2013年10月6日、10月13日掲載分を転載したものです。