毎日、出勤していても仕事が無いというケースがあります。就労していながらの「社内失業」の実態とはどのようなものなのでしょうか? 人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』( https://partners.en-japan.com )上でサイト利用企業を対象に「社内失業」についてアンケート調査を行ない、381社から回答を得ました。「社内失業者」にならないために何が必要なのかを探っていきましょう。
■“社内失業”は、めずらしくない現象か? 71%が「“社内失業”という言葉を知っている」
あなたは、“社内失業”という言葉を知っているでしょうか? 「社内失業」とは、労働者が正社員として企業に在籍しながら、仕事を失っている状態を指します。2011年の内閣府の調査によれば、全国の労働者の8.5%にあたる465万人が該当しました。
「“社内失業”という言葉を知っていますか?」と聞いたところ、71%が「知っている」(内容を含めて知っている:38%、概要だけ知っている:33%)と回答しました。
■「1000名以上」の企業規模ではすでに顕在化? 予備軍を含めると、実に29%の企業で「社内失業者」が見られる
“社内失業”の意味をお伝えした上で、「現在、社内失業状態の社員はいますか?」と伺ったところ、29%が「いる」(いる:9%、いる可能性がある:20%)と回答しました。業種別では「サービス関連」が37%(いる:8%、いる可能性がある:29%)。企業規模別では「1000名以上」が47%(いる:7%、いる可能性がある:40%)がそれぞれ最多でした。
■「50代」で役職がついてなければ「社内失業者」の可能性が高くなる。職務や職分が不明瞭な「企画職」なら、さらに可能性は高まる
現在、「社内失業者がいる」もしくは「社内失業者がいる可能性がある」と回答した企業に、社内失業者の属性を伺うと、年代は「50代」(61%)、職種は「企画職(経営企画、広報、人事、事務 他)」(46%)、役職は「一般社員クラス」(71%)がそれぞれ最多でした。
■能力不足が「社内失業」の要因。あなたの職業能力は陳腐化してないだろうか?
現在、「社内失業者がいる」もしくは「社内失業者がいる可能性がある」と回答した企業に、社内失業者の発生要因を伺うと、「該当社員の能力不足」(75%)が最多でした。次いで、「該当社員の異動・受け入れ先がない」(49%)が続きます。
“社内失業”が発生している状況に対し、今後の対応策を伺うと「該当社員への教育」(41%)が最多。“社内失業”についての具体的な悩みや課題の声も紹介しましょう。
【人事側の“社内失業”に関する悩み】
・営業が人員バランス的に多い気がします。定時で帰る人もしばしば。総務部は欠員がいるとは言え、全体で50名に対し、2人必要か悩みどころです。(メーカー/1~49名)・人材の不足している部署はあるが、社内失業している社員をその部署へ異動させることで生じる待遇や反発を考えると、適切ではないと感じる。(広告・出版・マスコミ関連/50~99名)
・会社側が本人の異動希望を聞いたり対応しようとしても、組織として柔軟に対応できない。対象者は、おしなべて能力の低い人が多く、他で引き取ろうとしない。(メーカー関連/50~99名)
・事業形態の変化に対応しきれない者への救済の方法が難しい。また、人員数では良くても人材能力と人員数がイコールとならないことが難しい。(商社/100~299名)
・社内失業とまで言える社員はいないと信じていますが、業務量の偏りは潜在的にかなりある。部署間でヘルプし合える仕組みづくりなど、社員の多能工化は目指していく必要あり。(流通・小売関連/300~999名)
・社内失業どころか人材不足状況にある状態なので、一刻も早く充足を目指したいと考えています。(サービス関連/1000人以上)
***
人間、やる仕事が無いほど虚しいことはないでしょう。就労しているにも関わらず、出勤してもやる仕事がなく「今日は、何をしたら良いのだろうか?」と考えるのは、実にいたたまれない感じがします。「仕事をしなくても給料が、貰えるなら悩まなくても」と思う人もいるかもしれません。しかしながら、仕事を通してご自身の「生きる価値」というものを実感しておられる方も多いのではないでしょうか。
「働く」の語源は、「傍(はた)を楽にする」ことだという説があります。「はた」というのは他者のことですが、周囲の人(他者)を“楽”にすることを考え、日々の仕事に取り組むならば、けっして「社内失業者」になることはないのではないでしょうか?
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『人事のミカタ』( https://partners.en-japan.com/ )を利用している企業
■有効回答数:381社
■調査期間:2020年2月19日~3月17日